コンカーは、ビジネスのグローバル化により近年増加傾向にある国内外の出張に注目し、日本CFO協会に協力して「出張費用マネジメントの実態調査(日本CFO協会実施)」を実施、結果と考察を発表した。調査対象は日本CFO協会会員を主体とした日本企業の財務幹部、287サンプルとなる。
上司による旅費規程違反チェックは形骸化、出張における不正は約半分の企業で発生
社員の旅費規程の理解度について71%が理解していると回答。しかし、上司による旅費規程違反のチェックについて41%が不十分と回答しており、社内のバックオフィス部門や提携している旅行会社にチェックが委ねられている。それでも出張で何らかの不正が発生したと回答した企業は約半数の51%であり、規定額・グレードを超えた航空券/ホテルの利用、不正な架空の出張、日当の不当請求などが発生したことが判明、社内規定の徹底が難しいことが分かる。
不正・違反を防止するために出張プロセスを厳格化したい半面、簡素化を希望する企業が多数
不正・違反が発生しているという状況の中で、出張手配プロセスを厳格化したいという企業は63%にのぼる反面、出張手配プロセスの簡素化を望む企業は83%にまで達しており、企業は厳格化と簡素化という相反する課題に直面している。また、出張手配が非効率であると回答した企業は53%であり、簡素化を望む背景には出張手配が非効率と感じていることも関係している。
海外出張費用の可視化の必要性は高く、分析する仕組みを求める声が高い
出張費用について適正化の余地があると回答したのは、国内出張では64%、海外出張では73%であり、特に海外出張において高い問題意識を持っていることがうかがえる。費用の適正化に必要な可視化について、海外出張費用においては60%ができていないと回答、可視化が必要と回答したのは実に85%を占めた。また、可視化を進める上での阻害要因として59%が「分析する仕組みがない」と回答、ITツールの導入などによる対策が必要であると考えられている。
出張者の危機管理の必要性は高いものの、安否確認が即座にできる企業は少ないことが判明
出張者の危機管理の必要性を感じると回答したのは88%に達し、昨今増えつつあるテロや暴動などに対する関心が高まっていることがうかがえる。しかしながら、災害・テロなど有事の際に従業員の安否確認が即座にできると回答したのは23%にとどまり、対応の遅れが露呈した結果となっている。また出張者の渡航・滞在先について把握が不十分と回答したのは31%であり、なかでも従業員数500~1000人の企業では68%が十分把握できない状況で突出、従業員数1000人以上になると十分把握できないと回答したのは20%程度に減る。中堅企業では組織体制や人員がついていけずに把握できなくなるが、大企業になると危機管理の専門部署の設置やシステム対応が図られていくようになるものと考えられる。
その他の主な調査結果は、以下の通りとなる。
・旅費削減に取り組んでいると回答したのは国内出張で71%であるのに対し、海外出張は48%と少ない。また、出張費用について適正化の余地があると回答したのは、国内出張では64%、海外出張では73%である。
・法人契約のある推奨航空会社があると回答したのは28%、法人契約のある推奨ホテルがあると回答したのは35%である。
・従業員が旅費規程を理解していると71%が回答。また上長による旅費規程違反チェックが十分でないと41%が回答。また上長以外に旅費規程に準拠しているかをチェックしているのは、社内のバックオフィス部門が80%、社内のバックオフィス部門と旅行会社の両方が7%、旅行会社のみが1%。
・旅費規程の違反・不正が発生したと51%が回答。違反・不正の内容については限度額や規定グレードを超えた航空券/ホテルの利用(28%)、不正な架空の出張(21%)、日当の不当請求(17%)、推奨外の航空会社/ホテルの利用(8%)、その他(6%)の内訳である。
・オンライン予約システムを利用している企業は41%だが、24%の企業があまり利用されていないと回答。またオンライン予約システムには出張規定を自動チェックする機能がないと76%が回答、推奨航空会社/ホテルを利用促進する機能については67%が無いと回答。
・出張手配プロセスの厳格化について必要性を感じると63%が回答、一方簡素化について必要性を感じると83%が回答。
・出張手配が非効率と回答したのは53%であり、出張者がホテル、航空券、レンタカーなど必要な予約を一元的に行うことができると回答したのはわずか21%である。
・海外出張費用の可視化ができていないと60%が回答、可視化が必要と回答したのは85%に及ぶ。また可視化がについての課題については、分析する仕組みがない(59%)、知見が足りない(41%)、データが不十分(35%)と回答。
・出張中の安否確認など、出張者の危機管理に必要性を感じると88%が回答するも、出張者の渡航先/滞在先情報を正確に把握していると回答したのは32%であり、災害・テロなど有事の際に対象出張者のリストを即座に作れると回答したのは28%、安否確認が即座にできると回答したのは23%である。また出張者への事前または出張中にリスク情報の提供ができていると56%が回答。
本調査結果について、コンカーの代表取締役社長である三村真宗は次のように述べている。
「欧米のグローバル企業では航空チケットやホテル宿泊費の購買力強化、空出張や不正経費利用を防止してのコンプライアンス順守はもちろん、出張者の危機管理も含め、ビジネストラベルマネジメントの導入が欠かせません。本調査結果が示すように、日本企業においても海外出張費用の適正化を望む声は高まる一方、航空会社や宿泊施設との法人契約といった戦略的な価格交渉が行われているケースはいまだ少ない状況にあります。また、国内より複雑な海外出張規定を従業員に遵守させることも困難であることから、海外出張費用の可視化と適切な管理が急務と言えるでしょう。コンカーは20年以上に渡って蓄積した出張・経費管理における知見を活かし、製品を通じて海外出張管理のあるべき姿を実現、日本企業の利益体質への変換を支援してまいります。」