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Design × Businessの羅針盤“Design In Tech Report”を読み解く(後編)

not design nor business:第3回

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 第1回では、デザイン思考が自己変革を続けていること、また、当初概念として日本に紹介された時とは、だいぶ姿かたちを変えてきている、ということを経営戦略の歴史・系譜なども引用しながら説明してきました。そして、第2回、第3回では、“Design In Tech Report”というレポートを紐解きつつ、design × business(デザインとビジネスの掛け合わせ)の未来を考える上で重要となる視座を幾つか紹介したいと思います。

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テック系企業や金融機関などによる、デザインファームの買収

  “Design In Tech Report”では、デザインファームの買収が進んでいることにも触れられています。このレポートによると、2004年以降、42ものデザインファームが買収され、そのうち半数が、2015年単年で起きています。

 ちょうど先月、シカゴのgravitytankというデザインファームがSaaS大手のSalesforceに買収されるというニュースが飛び込んできましたが、この買収も、デザインファームの買収ラッシュという一連の動きの一つと言えます。

gravitytankgravitytank

 “Design In Tech Report”では、こうした多くのテック系企業、コンサルティングファーム、金融機関と区分されていますが、それぞれ買収の背景を補足しましょう。

1. テック系企業による買収

 主に、FacebookやGoogleのような西海岸系事業会社がUXやUIチームを内製化、強化する目的の買収です。このタイプの買収は、あまり規模の大きくない、小粒のデザインファームの買収が多いのが特徴です。
 FacebookやGoogleのような企業も外部のデザインファームを雇いながらプロダクト開発することは珍しいことではありません。サンフランシスコ周辺には多くのブティック系のUX/UIデザインファームが存在していますが、そのうち特定領域に知見を有するファーム、あるいは特定の企業と結びつきの強いファームが、テック系企業に統合されるのが一つの大きな流れです。
 一方、SalesforceのようなB2Bがメインの企業は、買収したデザインファームの独立性をある程度保ったまま、クライアントのクロスセルのような緩い繋がりを保ちながら時間をかけて最適な統合の仕方を模索していくのではないでしょうか。

2. 金融機関による買収

 金融機関による買収については、個人向け金融サービスの平準化が進む中で、顧客タッチポイントが重要な差異化要因になっていること、また今後、Fintech、ブロックチェーンなど業界構造を揺るがすような技術革新に対して危機感を持つ幾つかの企業がデザインファームの買収にまで至っていますが、こうした流れは、金融業界に限らず起きていることであり、個人的には、独立したカテゴリーとして扱うほど重要度は高くないトピックかと思っています。

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この記事の著者

佐々木 康裕(ササキ ヤスヒロ)

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