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トレジャリーマネジメント入門

財務部門からでは「トレジャリーマネジメント改革」が難しい理由

第3回

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 前々回は、グローバルな資金管理である「トレジャリーマネジメント」が、業務改革の中で手付かずの領域でその改革は効果が出やすいこと、前回は、具体的に「トレジャリーマネジメント」にITシステムが効果的であることを解説した。今回は実際に、「トレジャリーマネジメント改革をどの部門を中心に行うべきなのか」に関して、解説をしていきたい。

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財務部門の「専門性」と経営企画・事業開発部門の長期を見据えた「俯瞰性」による改革

才能とは、無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターンである。

 これは、『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』(マーカス バッキンガム・ドナルド・O. クリフトン [著])内の言葉ですが、人間は十人十色で、それぞれの才能・能力・強みを持っています。

 だからこそ、企業内でも「適材適所」が叫ばれ、人事異動や組織改革を継続的に実行さています。そして、より全体最適で高い成果が創出できるように試行錯誤し、市場の変化に追随し企業としての使命を果たしていくことが求められるのです。

 突然、だいそれた話をと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、事業開発部門や経営企画部門等の「業務改革」を日常とされている方々と、財務業務を日常とされている方々では、無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターンが異なっています。

 誤解を恐れずに言えば、財務業務を担当される方々は、資金の観点から利益とその裏にあるキャッシュフローを増大させるべく、神経質なまでに数値に敏感で、いつも数値を皿のように見ているので、「いつもと違う」ことが本人の無意識で検出できるような生真面目さ、天性の感覚を持っている方が多くいらっしゃいます。さらに、当の本人は、上記のように細かな違いに気が付くので自覚はないのですが、傍から見ると毎日似たような業務を机の前でコツコツと継続することに対する耐性が高いという「才能」も兼ね備えています。

 一方でコツコツと継続の反対概念である、既存の延長線上ではなく「長期の将来を見据えた大胆な改革」という思考は苦手分野です。長期的な視野で物事を考える「才能」を持ち合わせている人でも、なかなかまとまった時間をとれないと思考の整理がされず長期の展望を描くというのは難しいのではないでしょうか。

 財務業務は基本的には月単位の業務サイクルですが、実際は毎日のように入出金が発生しその確認業務等が発生するのでただでさえ大きな時間を確保するのが難しい部署です。それに加えて、金融商品の知識に始まり税務も含めた幅広い分野をそれぞれのスペシャリストが分担しているので、部員間でフォローしあうことも難しく、業務改革専門に数か月等のまとまった時間を取ることが難しいのです。

 そのため、「適材適所」で事業開発部門や経営企画部門にいらっしゃる方々の「才能」を必要としているのです。

 続いては、皆様が財務部門の方々にグローバル資金管理の改革を持ちかけた際に言われるであろう、グローバル資金管理に関して財務部の方々がよく誤解されている点についてご紹介いたします。

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この記事の著者

深山 秀一(フカヤマ シュウイチ)

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