サービス評価は、ユーザーがするべきだ。この体制をつくることが、企業の進化につながる。
――坪田さんご自身が、ものづくりにおいて最も大切にしていることはなんですか?
「サービス評価は、ユーザーに委ねるべき」という考え方です。ユーザーにとってフェアな環境でプロジェクトを進める方が、結果的に事業も伸びると思っています。それが実現できるように組織もプロジェクトのあり方もユーザー中心に変えていくべきです。すぐには難しいかもしれませんが、まずは、一人ひとりの社員がフラットでいることが大切。少なくともユーザー体験を作るデザイナーは最後の砦になって、ユーザーにとって何がベストなのかをとことん考えて、場合によっては競合製品のPF活用も視野に入れてユーザーが使いやすいもの採用するべき、と提言できる人であるべきです。
ちょっと話は変わりますが、Webサービスで「リニューアル」というものがありますが、これもユーザー視点に立ちきれていない一つの例だと思います。既存とは別で開発ラインを走らせ、デザインや構成を一気に切り替える方法ですが、ゴールが同じであれば、既存ユーザーと向き合ってチューニングを繰り返し、徐々にゴールを目指す方が、ユーザーに学習負荷が掛からず健全です。習慣化しているウェブサービスが突然変わってしまうことは、おそらく誰も得をしない。「リニューアルプロジェクト」として位置づけた方が、社内の予算交渉、クライアントの説得がしやすいだけだと思っています。ユーザーにとってフェアであるべき姿に持って行くためには、予算の組み方、リソース方針など、組織のあり方を変える必要がある。今後の会社の進化は、「ユーザー視点を一貫して保てるか」という命題に答えることと同義だと、私は思っています。