名物連載のナビゲーター・入山章栄氏と佐宗邦威氏が、トップランナーとの対談で得たものとは?
続いて登壇したのは早稲田大学ビジネススクールで准教授を務める入山章栄氏。「世界の経営学からみたデザイン経営への視座」として、自身のキャリアでもある三菱総合研究所での勤務や、アメリカのビジネススクールで教壇に立った経験も交えながら講演した。
入山氏は本サイトで「Design×Management=Innovation」と題し、後に講演もする佐宗邦威氏と共に、毎回ゲストを交えての鼎談連載をしている。その経験から「各分野の第一人者からの仮説を聞くたび、実は本質的には全て同じゴールにたどり着くのではないか?そして、その気付きはこれからの視座になるのかもしれない」と考えた。鼎談連載を進める中で、入山氏は2つの思いを深めている。
ひとつは、「イノベーション、創造性、デザイン」を語れるトップランナーには共通項があること。もうひとつは、その共通項は世界標準の経営学的な視点とも符合し、親和性があることだという。入山氏はどういった点が符合するかを「知と知の組み合わせ」「知の探索/知の深化」「ストラクチャル・ホール理論」「H型人間」といったキーワードを用いながら解き明かしていった。
3人目の登壇者はP&Gにて「ファブリーズ」「レノア」などのマーケティング、「ジレット」ブランドのブランドマネージャーを務め、ソニーの新規事業創出プログラム(Sony Seed Acceleration Program)の立ち上げなどに携わった後、自身の会社「biotope」で老舗企業から大企業の研究所まで様々なビジネスの現場でデザイン思考を用いたイノベーションの支援活動を行っている佐宗邦威氏。「ビジネスとデザインの交差点 その先に見えているもの」と題し、組織変革をテーマに講演した。
P&Gやソニーといった大企業での勤務経験を下敷きに、デザイン思考を日本企業にどのように適応させていくか、また「いかにし創造的な場を組織に広げていくか?」といったトピックについて論じた。企業の変革、あるいは共創や外部パートナーシップといったものの重要性を示す時間となった。
その後、入山氏、佐宗氏が壇上に集い、連載記事の番外編ともいえるクロストークを展開。これまでに「Design×Management=Innovation」連載で登場したゲストを振り返った。「クリエイティブな才能を持つ人は、必ずしも成功率が高いわけではなく、挑戦する回数が多い」というトピックから、「企業は失敗を許容する姿勢が必要だ」といったトークをなごやかな雰囲気の中で語り合った。
入山氏は今後の連載について、「(ビジネスやマネジメント層においては)各レイヤーにいる専門家が現象にラベルを付けてネーミングし、“バズワード”になっているだけのことが多い。ただそれは、レイヤーが分かれているだけでほぼ同じ話をしているかもしれない。今後も各レイヤーのトップクラスとお話をして、共通項を見つけていこうと思っています」と意気込んだ。