「ICOによる投資」と「VCを中心とした投資」の違い
シリコンバレーにおけるスタートアップ企業を取り巻くエコシステムは、様々なところで紹介されているが、その最大の特徴はVCによる初期段階からの投資と、IPO(株式公開)や関連産業による買収によるエグジットであろう。特に、VCは立ち上げ初期の企業に対して、初回(シード)の投資に始まり、一定の業績をクリアすることを条件に、複数ラウンドに渡って資金を提供する。
このようなVCがスタートアップ企業の成長において果たす役割については、青木昌彦『比較制度分析に向けて』(NTT出版)に詳しい。青木の分析のポイントは、知識には形式化することが困難な「暗黙知」があり、とりわけスタートアップ企業への投資においては、起業家やビジネスモデルの将来性に関する「暗黙知」が重要な役割を果たすというものである。そのため、段階的な投資を伴う、関係的(リレーショナル)なファイナンスが重要な役割を果たしているとし、以下のように述べている。