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ブロックチェーンの可能性と課題

ブロックチェーン技術を活用した「ICO(Initial Coin Offering)」とは何か?

ブロックチェーンの可能性と課題:第10回

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 最近、ブロックチェーン技術を活用した新しいサービスやスタートアップ企業に関連して、「ICO」という言葉を頻繁に耳にするようになった。ICOとは、Initial Coin Offeringの略で、新しくデジタル通貨(トークン)を発行することで、資金を調達する方法である。今回は、このICOを巡る動向を概観し、そのメリットと問題点を明らかにしたい。

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「ICO(Initial Coin Offering)」とは何か?

 ICO(Initial Coin Offering)とは、ある定義によれば「新規の暗号通貨プロジェクトが、その暗号通貨トークンの一部をアーリーアダプターや支援者に、お金と引き換えに売り渡すことである」*1とされる。この定義では、暗号通貨を発行すること自体を目的とするプロジェクトのみを対象とするように見えるが、実際にはより幅広い目的のプロジェクト、例えば電力のP2P取引や、ライドシェアリングであっても、それらのプロジェクトに付随する暗号通貨があれば、それらを新規で発行して、資金を調達することも含まれる。特に、このような別の目的があるプロジェクトの場合は、当該のサービスが完成する前に、通貨部分だけを構築して売り出し、資金を調達することで、その後のサービスの構築費用や、マーケティングの費用を捻出することが可能になる。なお、ICOは「クラウドセール」や、「プリセール」と呼ばれる場合もある。

 ICOの例として、Inchainのケースを挙げることができる*2。InchainはEtherumのスマート・コントラクトを活用した保険サービスを提供するもので、ユーザーがパラメータを設定すれば、プラットフォームが保険ポリシーや支払等を管理するためのスマート・コントラクトを自動的に生成する。ブロックチェーンを用いて、保険サービスを限りなく自動化しようとするものだ。このInchainは2016年11月までの4週間のICOを行い、最初の一週間で13万ドルを集めた。全体では1億コインが発行され、そのうち85%が投資家に売り出され、残り15%は開発費用などのために保留される。Inchainのトークンを通じて資金を提供した投資家は、今後事業から得られる収益の配当を得られるとともに、今後の投資戦略に対して投票することができるようになるという。*3

 別の例としては、ChronoBankというサービスがある。これはクラウドソーシングのプラットフォームで、個人や企業が労働時間を売買できるサービスであるが、ChronoBankでは、LH(Labor Hour)トークンをブロックチェーン上で発行し、このトークンを売買することで、個人や企業が労働時間を小分けにして売買できるようになる。このChronoBankが、2016年12月15日から2017年2月15日までICOを行うという。この際に売り出されるのは、上記のLHトークンではない。投資家用に別に発行するTIMEトークンと呼ばれるものだ。お金を出してTIMEトークンを購入した投資家は、ChronoBankがサービスを開始した後、LHトークンが取引されるたびに発生する取引料を得ることができる。*4

ChronoBank出典:https://chronobank.io/

  • *1 SMITH+CROWN, https://www.smithandcrown.com/what-is-an-ico/
  • *2 http://www.the-blockchain.com/2016/11/03/ethereum-based-inchain-a-blockchain-insurance-platform-raises-130000-in-first-week-of-ico/
  • *3 ibid.
  • *4 http://www.the-blockchain.com/2016/12/14/chronobank-launch-initial-coin-offering-ico-blockchain-recruitment-product/

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この記事の著者

高木 聡一郎(タカギ ソウイチロウ)

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