執筆者情報
高木 聡一郎
(タカギ ソウイチロウ)
東京大学大学院情報学環・学際情報学府准教授、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員
これまでに、国際大学GLOCOM教授/研究部長/主幹研究員、国際大学GLOCOMブロックチェーン経済研究ラボ代表、ハーバード大学ケネディスクール行政大学院アジア・プログラム・フェロー、慶應義塾大学SFC研究所訪問所員などを歴任。専門分野は情報経済学、デジタル経済論。IT産業のビジネスモデルや、ITの普及・発展に伴う社会への影響を、主に経済学の観点から分析している。主な著書に「ブロックチェーン・エコノミクス 分散と自動化による新しい経済のかたち」(翔泳社)、「Reweaving the Economy: How IT Affects the Borders of Country and Organization」(東京大学出版会)、「学び直しの方法論 社会人から大学院へ進学するには」(インプレスR&D)など。2015年に社会情報学会より「新進研究賞」、2019年にKDDI財団よりKDDI Foundation Awardを受賞。博士(学際情報学)。
執筆記事一覧
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Biz/Zineインサイト
東京大学大学院・高木准教授に聞く、DXがもたらすデフレーミング時代の「企業」と「個人」の生存戦略とは(ゲスト:東京大学大学院情報学環・学際情報学府 准教授 高木 聡一郎氏【後編】)
社会全体でデジタル化が進み、収集されたデータの分析・活用によりビジネスをドライブすることの重要性が語られるなかで、さまざまなシーンで、デジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉を聞くようになった。東京大学大学院情報学環・学際情報学府 准教授の高木聡一郎氏は、このDXの土台となる情報技術の進化によって、さまざまな枠がなくなっていく「デフレーミング」という現象が起きていると主張する。そのデフレーミングの三つの構成要素のうち、一つを前編で聞いた。残りの二つの要素と、デフレーミング時代の働き方の変化、大企業の生き残り方を紹介する。
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Biz/Zineインサイト
東京大学大学院・高木准教授に聞く、DXという社会変化を理解するための概念「デフレーミング」とは(ゲスト:東京大学大学院情報学環・学際情報学府 准教授 高木 聡一郎氏【前編】)
社会全体でデジタル化が進み、収集されたデータの分析・活用によりビジネスをドライブすることの重要性が語られるなかで、さまざまなシーンで、デジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉を聞くようになった。しかし、DXの影響に関しては、もう少し視座をあげて議論をすべきではないか。そう考え、編集部は情報経済学を専門としている東京大学大学院情報学環・学際情報学府 准教授の高木聡一郎氏に話を聞いた。情報経済学は、情報技術の発展や普及によって、経済や社会がどのように変わっていくかを分析する学問であり、高木氏は情報技術と組織、経済の三つの観点から研究を進めている。 本インタビューでは、情報経済学の視点からDXによる社会変化とは何か。その鍵となる「デフレーミング」という概念に関して聞いた内容を前後編でお届けする。本稿は前編。
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テクノロジーの経済学
限界費用ゼロ社会で起こる、「経済主体の分散」と「富の集中」とは?(テクノロジーの経済学:第1回 )
近年、テクノロジーの進化のスピードには目を見張るものがある。IoT、人工知能、ブロックチェーンと、新しい技術が次々と生まれてきた。一方で、最近のテクノロジーの進化は、社会的な変革や課題を伴うことにも特徴がある。クラウドソーシングやシェアリング・エコノミーの出現、仮想通貨の実現と普及、自律分散型組織、人工知能と雇用の問題など、社会的な制度、組織、概念などの組み替えが求められるようになっている。 このような現代のテクノロジーの進化を考える上では、テクノロジーと社会の相互作用という視点が不可欠である。テクノロジーは社会制度や人々の考え方に影響を与え、また社会からのニーズがあってはじめてイノベーションが実現する。本連載では、テクノロジーと社会・経済の相互作用という観点を土台としつつ、テクノロジーの進化が我々の社会にどのような変化をもたらしてきたのか、また社会はテクノロジーに影響を受けてどこへ向かっていくのか、考察していきたい。 第1回となる本稿では、イノベーションによって引き起こされる社会変革を考える上で、共通的に使える視点をいくつか提供することにする。
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ブロックチェーンの可能性と課題
ICOが可能とするベンチャー投資の民主化とは?(ブロックチェーンの可能性と課題:第11回 )
前回は、ブロックチェーン技術を活用した新しいサービス「ICO(Initial Coin Offering)」とは何かを紹介した。ICOとは、Initial Coin Offeringの略で、新しくデジタル通貨(トークン)を発行することで、資金を調達する方法である。今回は、そのICOによるベンチャー投資のメリットと課題を冷静に考察してみたい。
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ブロックチェーンの可能性と課題
ブロックチェーン技術を活用した「ICO(Initial Coin Offering)」とは何か?(ブロックチェーンの可能性と課題:第10回 )
最近、ブロックチェーン技術を活用した新しいサービスやスタートアップ企業に関連して、「ICO」という言葉を頻繁に耳にするようになった。ICOとは、Initial Coin Offeringの略で、新しくデジタル通貨(トークン)を発行することで、資金を調達する方法である。今回は、このICOを巡る動向を概観し、そのメリットと問題点を明らかにしたい。
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ブロックチェーンの可能性と課題
ブロックチェーンは「分散型社会」をもたらすのかを、組織経済学の視点で考察する(ブロックチェーンの可能性と課題:第9回 )
ブロックチェーンは、「分散」というキーワードとともに語られることが多い。ビットコインが中央管理者なしに通貨と決済のサービスを実現しているところから、単に台帳の分散だけでなく、組織の作り方や経済の構造も含めた分散化に期待する声も多い。しかし、実際にはどのような意味で社会の分散化をもたらすのだろうか。また、ブロックチェーンは本当に社会・経済の分散化をもたらすのだろうか? 今回は、ブロックチェーンと分散型社会のゆくえを考える。
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ブロックチェーンの可能性と課題
ブロックチェーンの応用分野として有望なIoT――直面する「課題」と「もたらされるもの」(ブロックチェーンの可能性と課題:第8回 )
ブロックチェーンの応用分野の一つとして、IoT(Internet of Things: モノのインターネット)が挙げられている。しかし、IoTへの応用と言っても、具体的にどのような使い方があるのか、どのようなメリットがあるのか、必ずしも明らかではない。ここでは、現状のIoTが抱えている課題を、ブロックチェーンがどのように解決できる可能性があるのか、事例を交えつつ考えてみたい。
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ブロックチェーンの可能性と課題
中央銀行デジタル通貨は何をもたらすか?(ブロックチェーンの可能性と課題:第7回 )
前回、マネーの本質に遡り、デジタル通貨が「通貨」として成立するかどうか、あるいはブロックチェーンならではの違いがあるかどうかを議論した。一方で、各国の中央銀行がブロックチェーンを活用したデジタル通貨を発行するというアイデアについても、各所で検討されている。そこで、今回は中央銀行がデジタル通貨を発行することが、社会・経済システムにどのような影響をもたらすか考えてみたい。
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ブロックチェーンの可能性と課題
デジタル通貨で始まるマネーの終焉?(ブロックチェーンの可能性と課題:第6回 )
これまで、ブロックチェーンの汎用的な活用を取り上げてきたが、ブロックチェーンには「デジタル通貨」という重要な側面がある。デジタル通貨は、ブロックチェーンを動かすインセンティブでもあり、これまでのところ最大のユースケースでもある。デジタル通貨は普及するのか。その先にはどのような世界があり得るのか。今回はマネーの本質から考えてみたい。
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ブロックチェーンの可能性と課題
IoTとスマートコントラクトが作る“超自動化社会”とは?(ブロックチェーンの可能性と課題:第5回 )
ブロックチェーンは、ビットコインという貨幣の「台帳」という役割から、ネットワーク型のコンピューティング基盤へと変貌を遂げつつあるということを、今までの連載では解説した。今回は、ブロックチェーンの汎用化への道を整理するとともに、その発展形の一つであるスマートコントラクトが拓く“超自動化社会”を考える。
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ブロックチェーンの可能性と課題
ブロックチェーンの落とし穴―3つの苦手領域とビジネスチャンス(ブロックチェーンの可能性と課題:第4回 )
前回、ブロックチェーンがもたらす影響を、インターネットがもたらした「スーパースター現象」に対する「中央管理者不在の分散型組織」の可能性という観点から論じた。ちなみに、そこで触れた「DAO(Decentralized Autonomous Organization)」とは、自律分散型の組織を示す一般名称であり、最近ハッキングで話題になった「The DAO」とは別物であるので、念のため申し添えておきたい。さて、過去3回、ブロックチェーンの可能性を主にプラス面から述べてきたので、今回はその注意点や課題について見ていくことにする。
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ブロックチェーンの可能性と課題
ブロックチェーンは“スーパースター経済”の終焉をもたらすか?(第3回: )
前回、ブロックチェーンの3大要素を整理し、それを手掛かりにブロックチェーンの使い方を考えた。ブロックチェーンには様々な使い方が考えられるが、その普及の先にある世界はどのようなものなのだろうか? 今回は、一旦視野を広げて、ブロックチェーンが長期的に経済に与える影響について考えてみたい。
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ブロックチェーンの可能性と課題
ブロックチェーンはなぜ“破壊的”なのか―3つの要素から考えるビジネス活用(第2回: )
前回、ブロックチェーンに対する世界的な関心と期待の高まりについて概要を紹介した。しかし、ブロックチェーンは一体どのようにビジネスにおいて活用できるのだろうか? 今回は、ブロックチェーンの基本的な特徴を紹介するとともに、それらの特徴を用いて、どのような活用方法があるのか、着想のヒントを考えていきたい。
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ブロックチェーンの可能性と課題
ブロックチェーンは次世代のインターネットになるか-プラットフォームとサービスの潮流(第1回: )
「ブロックチェーン」への注目が世界的に高まっている。ビットコインの登場とともに発明された技術だが、暗号通貨としての利用だけでなく、より汎用的な「次世代のインターネット」としての期待が高まっている。新たなに始まる本連載では、情報経済学を専門とする著者が、経済学のレンズを通して見たブロックチェーンの発展可能性と課題について、議論を進めていく。