“悪いように見えて実は良いアイデア”を見つける
まず語られたのは、「アイデア」について。社内の新規事業を成功に導くには、いかに仲間を巻き込めるかも成功に導く重要な要素のひとつだが、そもそもアイデア自体が良いものでなければ、成功すら望めないだろう。だからこそ、いかに良いアイデアを考えるかが新規事業の命運を握っている、といっても過言ではない。
とはいえ、「良いアイデアの定義」とは何なのか。馬田氏は“悪いように見えて実は良いアイデア”、これがスタートアップにとって成功するアイデアの条件だと語る。良いアイデアと聞くと、一般的には誰の目から見ても良さそうに見えるアイデアや、合理的に導けるアイデアが答えとして挙がってくるだろう。決して間違いではないが、そうしたアイデアは多くの人が狙ってくるため大きな成功は望めないという。
過去を振り返ってみると、急成長したスタートアップはその時点でのトレンドとは少し違ったところから生まれています。例えば、Facebookが全盛の時代、多くの人はソーシャル(Social)、ロケーション(Location)、モバイル(Mobile)の『SoLoMo』と呼ばれる領域に注目していたのですが、その頃に生まれた良いスタートアップはUberやAirbnbといったシェアリング系のサービスでした。
実際、UberやAirbnbが登場した後、多くの人がこぞって、次なるUberやAirbnbとなる企業を探したが、次に新たなトレンドを生み出し成功を収めたのは、DeepMindやvicariousといった深層学習、機械学習の企業や、OculusやMagic LeapといったVRの企業だった。
その時点でトレンドとなっている「良さそうなアイデア」を追いかけるのではなく、誰も知らないけれど数年後、重要になっていそうなこと。それをいかに見つけるかどうかが、アイデアを考えるうえで重要になる。今でこそ成功例として語られることの多いGoogleやFacebook、Airbnbだが、当時は事業アイデアに共感する人は少なく、投資家から投資を拒まれることも多かったという。それが今ではどうだろう。不合理に見えるアイデアを選択することによって、誰もが想像しなかったほどの成長を遂げているのだ。
その一方で、馬田氏は「ただし、悪く見えるアイデアのほとんどが単に悪いだけ。見分けるのが難しいので、そこは注意が必要になります」と警鐘を鳴らす。