次の波はEV、モビリティサービス、AIロボット──SMBC、住友電工、VCなど語る。

「Tech Sirius 2018」(テックアクセルベンチャーズ主催)レポート

ベンチャー投資会社テックアクセルベンチャーズが主催する『Tech Sirius 2018』が2月6日に開催された。三井住友銀行、住友電工などが講演を行うとともに、ベンチャー11社がピッチコンテストをおこなった。

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[取材・構成] 京部康男 (Biz/Zine編集部)

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三井住友銀行のオープンイノベーション

TOP写真(左より):テックアクセルベンチャーズ 職務執行役員 大場正利氏/三井住友銀行 常務執行役員 工藤禎子氏/住友電気工業 研究開発本部 研究企画業務部 連携推進室室長 片山誠氏

テックアクセルベンチャーズは産業革新機構・三井住友銀行が出資したベンチャー投資会社。オムロン、リコー、SMBCベンチャーキャピタルなどが参加し、事業会社のスタッフによる知見を活かしてシード・アーリー系のベンチャーに投資している。今回おこなったビジネスプランコンテスト「Tech Sirius 2018」には42チームが応募し、大学系を含む11チームが最終選考となった。
テックアクセルベンチャーズの大場正利氏は開会に際し「事業会社のリソースを活かしつつ、CVCやM&Aのような大企業型とは異なるベンチャー支援で日本発のイノベーションを実現したい」と語った。

まずはじめに三井住友銀行 常務執行役員の工藤禎子氏が講演。三井住友銀行でのオープンイノベーションプロジェクト「トリプルアイ」の紹介を行った。NEC、三井住友海上火災保険、関西電力、住友商事などの大企業がコンソーシアムメンバーとして参画し、農業など成長戦略分野を設定し、共同研究や事業開発を行ってる。

住友電工 片山氏が語る「自動車産業の大変革」

続いて、住友電気工業の片山誠氏が講演。片山氏はシリコンバレーでの7年の経験のから「目的もなくシリコンバレーで何かを始めるという企業は100%失敗する」と語る。また、日本の大企業には今だに社内での強い抵抗があり、「チャラいことをしていると見られがち」で、「俺達にも出来るという自前主義がはびこっている」と語る。

こうした風土に抗して、住友電工はイノベーションプロジェクトに取り組んできた。注力するのは、次世代のモビリティ分野だという。

「モビリティとエネルギー、この2つの事業がEVを中心に融合する。ここに大きなチャンスが存在する」(片山氏)

こうした展望に立った住友電工の戦略が示された。現在の自動車産業業の垂直統合の構造が水平分業化し、2030年以降はEVとPHEV(プラグインハイブリッド電気自動車)とスマートグリッドにより、業界ヒエラルキーが大きく変化する。「エネルギーマネジメント」「配車システム」「電力供給」「車両リース」などの新たなニーズが生まれる。この大変化の中での「モビリティサービス事業」への転換だ。そのためには、新しい車両システムの開発、提案、供給が必要となり、リチウムイオン電池の開発やリサイクルなどの課題もある。

 EV化というと電気自動車ということになるが、片山氏はそれは一つの要素にすぎず「スマートシティの中でのモビリティサービス」がメインであると語る。そのためには「モノづくり」ではなく「コトづくり」の考え方が必要になる。

「住友電工はコテコテのモノづくり企業。これまで苦手だったコトづくりに関しては、ベンチャーと協力してやっていきたい」(片山氏)

次の波はパーソナルロボットとアニス・ウッザマン氏

続いて講演したFenoxベンチャーキャピタルCEOのアニス・ウッザマン氏は、今後の注目する投資分野を語った。

顕著なのはやはりAI。その一例として、スマートスピーカーなどのデバイスのトレンドについて語った。Amazon Echoをはじめとするスマートスピーカーは、Googleなども含めると米国では3900万台普及しており、すでにAIアシスタントとしてキャズムを超えている。この流れの次にくるのが、キャラクターや表情が加わった「パーソナルロボット」だと述べる。そしてウッザマン氏が投資しているJiboなどのロボットを紹介した。

また糖尿病の予知・予防のための「ヘルスケア」領域、「農業☓IT」のアグリテック、「量子コンピューター」にも注目すべきだと語った。

Fenoxベンチャーキャピタル アニス・ウッザマン氏が示す8つの重点分野

11社がプレゼン、睡眠改善アプリ「オー」が優勝

ピッチコンテストでは、以下の11社がプレゼンした。

  1. シナモン:ホワイトカラー生産性向上のためのAIサービス 
  2. マッシュルーム:スマート宅配ボックス
  3. アキュルナ:難治性疾患のための核酸医薬とドラッグデリバリーシステム
  4. ユニロボット:パーソナルAI型ロボット
  5. Nicebot(早稲田大学):製造現場のための協働型ロボット
  6. tiwaki:Wiki型の物体検出・認識ARエンジン「
  7. ヒラソル・エナジー:太陽光発電向けIoTプラットフォーム
  8. O:(オー):体内時計測定デバイスによる不眠改善コーチングアプリ
  9. exiii:触覚伝達デバイス
  10. FunLife:AR☓スポーツトレーニングサービス
  11. チトセロボティクス(立命館大学):ロボットの派遣サービス

優勝は、睡眠改善アプリの「O:」(オー)が受賞した。EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングからの事業コンサルティングと6カ月のメンタリング、賞金50万円を獲得した。

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