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経営戦略としてのサプライチェーン変革

なぜYKK APはロジスティクス部門を社長直下にしたのか──岩﨑CLOが描く次代のサプライチェーン

ゲスト:YKK AP 岩﨑稔氏

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 日本のサプライチェーンが抱える複雑な課題を掘り下げ、それらを乗り越えた先に広がる未開拓のビジネスチャンスと、その実現に向けた道筋を探る本連載。今回は、YKK AP株式会社 執行役員 CLO(最高ロジスティクス責任者)(兼)ロジスティクス部長 岩﨑稔氏に、同社がCLOを設置した背景、ロジスティクス組織の取り組みや、デジタルを活用したサプライチェーン変革について伺いました。聞き手は株式会社Shippio 事業推進室長 兼 マーケティング部長の真畑皓氏です。

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岩﨑氏がCLOに就任した背景

真畑皓氏(以下、真畑):岩﨑さんの現在の役割、CLOに就任された経緯をお聞かせください。

岩﨑稔氏(以下、岩﨑):CLOへの就任は、2026年の春から始まる改正物流法への対応を検討していた2023年に、政府から「運送会社の労働時間の管理は荷主企業がしっかりコントロールするように」と指摘を受けたことが大きなきっかけです。指摘を受けて実態調査をしてみると、物流事業者に大きな負担をかけていることがわかりました。

 改正物流法が施行されると、その点をきちんと管理する必要が生まれ、企業には物流統括責任者を設置することが求められます。そこで代表取締役会長の堀(秀充氏)、代表取締役社長の魚津(彰氏)たちの薦めもあり、私がCLOを務めることになりました。

 CLOに着任したのは2024年4月ですが、実は2023年の12月末に就任の話が決まっていました。そこから翌年2月末まで、社内の物流に関するガイドラインを整理していきました。その後は、物流にまつわるガバナンス、リスク管理について、ガイドラインにもとづきながら全国的に統制する役割を担っています。

真畑:岩﨑さんはまず物流部長という役職から、執行役員になり、それからCLOに就任しています。役割が変遷する中で、何か変化はありましたか。

岩﨑:部長のときは、オペレーションの責任者としてコストダウンや業務改善に集中して取り組んでいました。執行役員になってからは、執行責任が生まれ、経営陣へ報告する場面が増えましたね。

 昨年の4月にCLOになってからは、全国34ヵ所にある出荷拠点に「輸送協議会」という会議体を設置しました。協力いただいている物流事業者の方々に3ヵ月に1回のペースで集まっていただき、YKK APの物流に対する考え方、実際の取り組み、協議会の設立意図や目指すところをお伝えしながら、双方向でコミュニケーションをとる場になっています。私自身も、2回目の開催時には全国を飛んですべての会議に参加し、各地の方々と直接お話しさせていただきました。

 実際に会うことでお互いの顔が見え、信頼関係が生まれますし、私たちの至らない点に対する意見も出してもらえます。それをふまえて我々は改善点を直していけますし、風通しがよくなったと感じますね。

 たとえば一つひとつの作業の中にある「もう少しこうしてくれたら楽になる」「こうするとドライバーの負担が減る」というポイントは、私たちから気づくのが難しい。それを伝えてもらえることはプラスだと考えています。あとは価格交渉についても、面と向かうことで色々な会話ができるようになっています。腹を割った話をしていければと思いますね。

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この記事の著者

加藤 智朗(カトウ トモロウ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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