「汎用システムデザインプロセス」から導き出す、物語・UXによる顧客価値
人間工学から分析してデザインに統合する「汎用システムデザインプロセス」においては、設計項目と手法がある。その設計項目の下に事例が紐付くイメージだ。フレームワークとして、「手法」「上位設計項目」「下位設計項目」「事例」をそれぞれ覚えてしまえば、このメソッドを実践することができるという。たとえば下位設計項目として、ユーザーインタフェイスデザインで29項目、ユニバーサルデザインで9項目、他にも感性、安全性、エコロジー、ロバスト、メンテナンスといったように70項目があげられている。
汎用システムデザインプロセスでは、目的・目標を定め、システム計画書(仕様書)を作成し、ポジショニング、要求事項抽出、システムとユーザーの明確化、構造化デザインコンセプトに落とし込み、それらに基づいて可視化する。それを評価し、システム計画書や目的・目標にまで照らしあわせて確認していく。従来の方法では、属人的で漏れが多かったが、汎用システムデザインプロセスであれば手間はかかるものの誰でも漏れなく行うことができ、常に60点以上の品質を保つことができる。工業デザインから企画・イベントまで汎用性も高い。
デザインは「UX(User experience)」、「物語性」、「魅力性」の三層構造になっており、これまではデザインイメージや色、形態などの魅力性ばかりに注力されていたが、今後は物語性が重要になってくるという。山岡氏は「見た目だけの魅力では人々はすぐに飽きてしまう。そこに人々の関与があり、物語がある時に魅力を感じる。さらにそこに自らが関わり、UXを得た時、さらなる魅力を感じる」と説明する。このUXの構造として、人やシステム、環境と関わることで、体験の結果が生まれ、感情が喚起される。またUXに関わる6つの感覚について、体験と感情の相関関係を調べ、さらに基本タスクのストーリーを作成するなどのアプローチが紹介された。