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クリエイティブに本を読むための読書術パターン・ランゲージ(後)

「本をクリエイティブに読む -これからの時代で求められる創造的読書」」イベントレポート(後)

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 神保町ブックセンターでおこなわれた「創造的読書」(クリエイティブ・リーディング)に関するトークイベント。『Life with Reading – 読書の秘訣』という27のコツをまとめた「パターン・ランゲージ」の言葉を用いながら、慶應義塾大学 井庭崇さん、正能茉優さん、あかしゆかさん、UDS社長の中川敬文さんが語り合ったトークの後半をお届けする。前編はこちら

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本をきっかけに行動を起こす

井庭:後半は、「読書の楽しみ方」と「創造的読書」の話に入っていきたいと思います。まずは「読書の楽しみ方」のカテゴリーには、《本への愛情》《こだわりの発見》など、9つのパターンがあります。本の内容そのものももちろんですが、本の手触りとか装丁へ愛情というのも、本好きなみなさんなら、感じていると思います。

《本の散策》は楽しいですよね。前半にあかしさんが言ったように、《なじみの本屋》や図書館に行って、森の木のようにずらりと並んだ本を眺めながら散歩するのです。僕のまわりにいる「本が苦手」という人に聞いてみると、「本屋は書いたい本があるときにんだけ行く場所」だと考えているようです。でも本好きの人は、買いたい本を買いに行くというよりも、本屋でブラブラして、思いがけない本と出会うのを楽しんでいるものです。実際、僕も、ここ、神保町ブックセンターに来れば何時間でも過ごせちゃいます。そして、いろいろ見つけて、たくさん買うことになって、本棚に本が増えることになるわけです。

 本の楽しみ方の別のものとしては、《今日のおとも》として、選んだ本を1日持ち歩くという楽しみ方。その日の気分によって持っていく本を決めたりします。「今日は、この子を連れて行く」という、ちょっとペットのような感覚といってもいいかもしれません・旅行にも何冊かつれていったりもしますね。そんなに読む時間ないのに(笑)。

 《とっておきの場所》というのは、自分がもっている中でもひと際大事な本の置く場所を演出することです。たとえば本棚の一番目立つ場所においたり、部屋のインテリアとして表紙が見えるように飾ったりします。

 ほかには、《本がきっかけ》でいろいろなことを楽しんでいる人もいます。たとえば、ギリシャやイタリアが舞台の本を読んだら、その場所に実際に行ってみたりとか、おいしそうな料理が出てきたらそれを食べに行ったり自分でつくってみたり。そんなふうに、本の世界を自分の世界に重ねて楽しむのです。

 《本のある生活》というのは、その本の書かれた何年、何十年、何百年も前の時間に思いを馳せてみて、昔の人が何年もかけて生み出した本に今ここで出会っているという、ちょっとした奇跡を味わうというものです。本の楽しみ方については、みなさん、どうでしょうか?

あかし:私、ほとんど全部やってます(笑)。《とっておきの場所》で言えば、部屋の中に籠を吊るしていて、その中に次に読む本とかを入れていたりします。

井庭:へええ、それは素敵!!

正能《こだわりの発見》で言えば、私、著者にサインをお願いする時に「読んでくれてありがとう」「どうでしたか?」とか読んだ後らしいコメントを書いてもらってます。

井庭:読む前から?(一同笑)

正能:はい。本自体はただのコンテンツだから、つい手軽なスマホの方にいってしまうんですよね。でも、「著者さんに書いてもらったから読まなきゃ」って思うと、スマホよりも本を読もうって思える。

中川《今日のおとも》で言えば、この場所(神保町ブックセンター)を作る時は、いつも神保町の街に関する本を持ち歩いていました。読まなくても、いつも意識するために。

井庭《本がきっかけ》で、何かやったことありますか?

あかし:めちゃくちゃベタなんですけど、沢木耕太郎さんの『深夜特急』を読んで、バックパッカーでタイとカンボジアに行きました。それが私のはじめての海外旅行です(笑)。

あかしゆかさん、UDS社長中川敬文さん

正能:この間、ハードボイルド作家の原尞さんが14年ぶりに書かれた小説(『それまでの明日』)を読む機会があったんです。普段は動画でコンテンツを楽しむことが多いので、小説の風景描写を読むのに慣れていなくて、最初は大変でした。でも、14年間かけて書いた小説だと思うと、そうした描写の部分もゆっくりかけて読むことが苦痛じゃなくなって。どうしてもその本を読みたいのに、なかなか進まないっていう時は、著者さんのエピソードに触れるのも大事だなって思いますね。

慶應義塾大学 井庭崇さん、正能茉優さん

井庭《本のある生活》でいうと、僕が研究しているパターン・ランゲージは、建築家のクリストファー・アレグザンダーが考え出したものなのですが、それが書かれたのは、いまから約40年前で、彼らは10年以上かけてそれを書きました。そう考えると、すごいことだなぁと思うわけです。それだけの時間かけて書かれたものだから、じっくり何度も読もうという気になります。

正能:たしかに。その年月の幅が愛おしくなりますよね。先日読書イベントで対談させて頂いた成毛眞さんは、先ほどお話しした原尞さんの本を昔からリアルタイムに読んでおられて、「自分が何歳の時の原尞さんの作品」というように記憶されてるそうです。著者と一緒に時間を生きていくと面白い本の読み方ができるとおっしゃってました。

中川:作家と一緒に年を重ねていきたいと。

正能:そう、歌舞伎役者みたいに(笑)。そのお話しを伺ってから、私もそういう作家を見つけたいんだけど、まだみつからない。

井庭:わかります。作家にはそのときだからこそ書けたものというのがあるんです。年と書く経験を重ねてこそ、ようやく書けるようになるというものがある。僕も、今度出した『対話のことば』という本も、今だから書けた本で、3年前なら書けなかったと思います。

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本からスタイルを継承する、勇気をもらう

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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