本格導入の準備には2ヶ月。まずは、導入を推進する「チャンピオン」を社内に育成した
――Slackの導入にあたって工夫されたことがあれば教えてください。
橋本:大松さんの部署でのケースが分かりやすかったですね。もともと、Slackを使いこなしている人がいて、全くわからない人がいて。そもそもITへの知識にも差がある。いろんな人がいる中で、「なぜ、Slackを使うのか」を明確に、誰にでもわかるようにメッセージを発信していきました。単に、「メールをやめてこっちにしましょう」ではなく、「なぜ」を伝える。そして、「いままでメールで出来ていたことは、全部できます」といったこともきちんと伝えるようにしました。使いこなせる人にとっては当たり前のことでも、使ったことがない人にはわからないんです。そのギャップを埋めていくことに気を配りました。
導入時には、Slackのカスタマーサクセス担当者の指導により、各部署から「チャンピオン」を選出して導入プロジェクトに加わってもらいました。チャンピオンは、各部署でSlack活用を引っ張ってくれる存在です。だから、ITに強いとかそういうことよりは、部内の業務に精通しているとか、部内でのコミュニケーションのハブになっている人というような視点で選出を各部署にお願いしました。チャンピオンとSlackの使い方だけではなく、なぜいまコミュニケーションツールが必要か、具体的に日々のどのようなコミュニケーションで活用出来そうか、というところまで踏み込んだワークショップを通じて、理解を深めていきました。
――導入にはどのくらいの準備期間があったのでしょう?
大松:2017年4月に私の部署で試験導入していますが、全社導入は2018年7月23日です。全社導入プロジェクトのキックオフは5月中旬でしたから、約2ヶ月の準備期間で全社導入したことになります。
橋本:ちょうどSlack導入プロジェクト開始の直前に社内でコミュニケーション部門ができたのです。社内コミュニケーションを変えていこうという雰囲気は盛り上がりつつありました。部門を超えたコミュニケーションを進め、デジタルサイネージやポスターでSlack全社導入を告知したり、ステッカーを配ったりして、「あれはなに?」という会話が生まれる雰囲気にしていった。その疑問に答えられるチャンピオンも各部門に育っています。社内報でも告知、Slack全社導入前の7月上旬からSlackのソーシャルのワークスペースで「新橋ランチ」をテーマに楽しく情報を出し合うようなことにも取り組んで「Slackだとこんなことができるんだ」という期待感も醸成していきました。
あとは、「Slackなんでも相談室」を作ったんです。これは社内の会議室とか共有スペースを使って、「この時間帯なら担当者がいるから何でも聞いてください」と。ここでは、Slackの使い方に関する質問が多かったのですが、その一方で「こんな使い方もできるんじゃないの?」「こんなことも実現したい」と新たなアイデアを持ってきてくれる人もいました。こういったフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションがとても大事なんです。
大松:あとは、トレーニングですね。
橋本:これは人によって必要なレベルが違うので苦労しました。アドバンスドな使い方を知りたい人もいれば、本当に初歩的な部分でつまずく人もいます。一瞬でも「面倒だな」「わかりにくいな」と思ったら、その人は使わなくなってしまう。受講者からのフィードバックに気をつけて、トレーニングの内容、機会を工夫しました。