事業拡大に伴って発生したコミュニケーションの課題。メールで書く「お疲れ様です」さえ、負担になっていた
――まず、電通デジタルさまの社内で、ビジネスコミュニケーションに関してどのような課題を感じられていたのかをお聞かせください。
大松 正人氏(以下、敬称略):電通デジタルは、電通グループの、デジタルマーケティング領域を担っており、私の担務は市場における当社の競争力向上をミッションとしています。組織の市場競争力を高めるためには、社内の情報や知見を集約して活用することが重要になります。会社の仕組みとして「ナレッジ基盤」を構築し、全社員が 独自性の高いソリューション、サービスを提供できるようにしなければならない。そこで、膨大な社内の情報の流通頻度と速度を高める必要性を強く感じていました。
橋本 訓氏(以下、敬称略):私はコーポレート部門の情報システム部にて、IT企画とプロジェクトマネジメントを担当しています。当社は、2016年の設立以降、毎年3割増くらいのペースで社員数が増えています。組織もソリューション事業部門、広告事業部門共に拡大し続けています。すると、社内コミュニケーションの課題が出てくるのは当然のことです。
――Slack導入前にも、他にコミュニケーションツールは使われていたのでしょうか?
橋本:全社ではメールやチャットツールを利用していました。その一方で、部門によっては利便性向上のために異なるツールを利用している状態でした。そうなると部門間のコミュニケーション、マネジメント層からのメッセージの発信、浸透が難しくなってしまう。部門間コラボレーションを通じた新たな価値の創造という課題もありました。
また、セキュリティの強化も課題でした。メールの誤配信など、人がやることなのでミスはあります。ならば、ミスが発生しない環境、ミスを予防する仕組みを考えなければならないのです。こういったことを解決できるツールとして、Slackが俎上に上がってきました。
大松:もう一つ、業務の効率化も課題でした。まず、メールの本数が多い。冒頭の挨拶文として「お疲れ様です」「いつもお世話になっています」と打つだけで、積み重なると相当な時間を消費していました。また、メールのやりとりが多すぎて、過去のメールを掘り起こすのも相当な労力になっていました。これは、メールでやり取りする以上、なかなか解決が難しい課題です。
――そこでSlack導入が検討されたということですが、なぜ、Slackが候補となったのでしょうか?
大松:最初、私の部門だけで試験的に導入したのが、2017年の4月頃でした。当時、転職してきたスタッフが前の会社でSlackを使っていたことがきっかけです。そのスタッフから「こういうコミュニケーションツールがあったほうが便利だ」という話がでてきて、検討の結果、まず私の部門だけで導入しました。まだSlackの日本語版もなかった頃でしたが、そのSlackを紹介してくれたスタッフが、周囲を引っ張ってくれました。
すると、毎日のメールのやりとりが半分になったんです。それだけで相当な時短になりました。これほど明確な差がでるとは思わなかったほどです。あとは、シンプルに部門内のコミュニケーションが活性化して、職場の雰囲気がよくなりました。ランチ行きましょうかと誘い合ったり、社員の結婚式に出た私が部のメンバーにその写真をリアルタイムで共有して盛り上がったりということもありました。Slackにはチャンネル機能があって、用途別にチャンネルを分けられるのですが、この場合は、もちろん、プライベート用とビジネス用を使い分けています。
橋本:今回、事業部門だけではなく、コーポレート部門を含め、電通デジタル全社で導入したときにも、チャンネルはオンとオフを明確に切りわけたデザインにしました。ビジネスに特化したワークスペースとは別に、ランチやサークル活動などソーシャルのワークスペースといったように、テーマ毎にチャンネルを作ったんです。