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意思決定プロセスを変革するOKRとは?

アドビの変革にみる日本の評価制度の課題──OKRを軸にしたフィードバック文化とは?

第3回

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 前回の記事では、インテルの事例を参照しながらOKRの4つの威力について整理しました。また、これをもとに、企業が自社のコミュニケーションフェーズに応じてOKRを導入するためのポイントと、OKRから得られる価値をまとめました。  今回は、変化の激しい事業環境下での従来型評価制度の限界についてまとめます。そしてそこから、日本企業が変革を進めるためのキーとなる、OKRを基軸としたフィードバック文化の醸成について解説していきます。

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アドビが事業をサブスクリプション型へ変化させる際に人事制度も変えた理由とは

 近年、従来の人事評価制度による評価を廃止する米国企業が出てきました。よく知られている例では、アドビ・システムズ(以下、アドビ)が開始した「チェック・イン」や、GEでの9ブロックによる人事考課の廃止があります。

 今回は、変化の激しい事業環境下での従来型制度の限界、および新潮流の紹介とともに、OKRを基軸としたフィードバック文化の醸成による日本企業の変革の可能性についてまとめていきます。

 まずは、米国で起こっている評価制度変革の背景を知るヒントとして、2015年にデロイトが発表した「Deloiite Gloal Human Capital Trend」を見てみましょう。

 デロイトの調べによれば、従来の制度下で評価に注いでいる時間は、従業員のエンゲージメント向上や成長支援に十分に跳ね返っていないとされています。82%もの企業が人事評価にかけている時間に価値があると感じておらず、人事評価によって従業員のエンゲージメント向上や成長を十分に促進できていると答えた人事担当者は10%、4割の担当者は効果が弱いと答えています。 こうした課題は、事業環境の変化によって急速に顕在化しました。

事業環境の変化にあわせて評価制度も変えたアドビ

 アドビは2012年に制度改革を行いました。この背景にはデロイトの調査でも明らかになった事情に加え、事業環境の変化があります。

 当時のアドビは、パッケージ販売からサブスクリプション型のビジネスに大きく舵を切ろうとしていました。これに伴って、製品アップデートも従来に比べて頻繁に行われ、新しい技術もどんどん開発されていき、変化が激化します。期初に決めた事業目標や個人のキャリア目標も期中で陳腐化するため、継続的な見直しの必要性が生じたのです。

 現在、アドビでは「チェック・イン」という制度を導入し、最低でも3ヶ月に1度、マネージャーとメンバーとの間で日々の業務の見直し、能力開発やキャリアに関する面談を行っています。メンバーに対して年間を通じて継続的にフィードバックを行うことで、マネージャーは変化を織り込んで目標に調整をかけ、メンバーは時宜にかなったキャリア開発の支援を受けているのです。

アドビ「チェック・イン」の大枠の流れアドビ「チェック・イン」の大枠の流れ(リクルート研究所機関紙Works 2016年より抜粋)

 GEでもこれに近いサイクルで対話が行われていますが、これに加えてGEでは9ブロックを廃止するという象徴的な変化がありました。では、アドビやGEは新制度下で一体どのように報酬やボーナスを決定しているのでしょうか?

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この記事の著者

堀江 真弘(ホリエ マサヒロ)

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