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怒涛の再編・体制変化を乗り越え、日立ソリューションズが実践した「働き方改革」

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 国家的な重要課題として位置づけられている「働き方改革」。多くの企業で様々な取り組みが進む中で、有力SIerである株式会社日立ソリューションズでも早くからダイバーシティ経営やワーク・ライフ・バランスの改善などに取り組み、2016年からは「ワークスタイル改革運動」として全社的な活動へと展開させている。どのような取り組みを進めたのか、現場における障壁はなかったのか。試行錯誤の中から得られた実感や知見をお話しいただいた。

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組織再編を機に全社的な「働き方改革」を開始

 日立ソリューションズが「働き方改革」を推進する最初のきっかけとなったのは、会社の成り立ちにあるという。2010年10月の上場廃止、そして日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社と株式会社日立システムアンドサービスの合併により、新たな組織となったことで様々な問題が想定されたためだ。

日立ソリューションズ 人事総務本部 労政部 労政グループ部長代理 林 伸行氏

 人事総務本部の林伸行氏は、「5000人の会社同士が一緒になるというのは、それぞれの企業文化や考え方があり、想像以上に難しいところがあります。そこから社内の一体感を醸成するためには、ビジョンや事業戦略などの共有だけでなく、コミュニケーションの密度を高めることが必要でした」と当時を振り返る。「そこで社内SNSの導入やビックサイトでの運動会開催など、コミュニケーションを活性化するための施策を行い、働き方の多様化を意識したダイバーシティ経営やワーク・ライフ・バランスの改善などにも取り組んできました。ただし、それぞれで成果は得られたものの、あくまで単独の施策であり、部門によって浸透度にもばらつきがありました」

 その後、2015年4月に行われた組織再編により、再び社内の体制が大きく変わり、従業員数は約半数となり、売上も半減することとなった。売上の約半分を占めていた金融・公共および社会インフラ事業が株式会社日立製作所へ移管となり、残る製造業や流通、サービスなど事業分野で事業を継続する必要が生じたためだ。急激な環境変化の中で、事業を継続・成長させるための生産性向上が喫急の課題になったという。

「コストにシビアで変化の激しい業界から安定的に収益を得ていくためにはどうしたらいいのか。不安やいらだちがある中で、それでも前向きに頑張ろうという機運が高まりました。称賛や感謝の気持ちをコメントと共にポイント付与で伝え合う『社内ポイント制』や、後に『仕事のムダ取りワーキング』に発展した業務改善活動など、明るく楽しみながらも、“真剣に”生産性を上げる様々な取り組みが各部門で始まったのです」(林氏)

 当時開発部門に在籍していた松本匡孝氏も「戸惑っている暇はありませんでした。拡販活動やサービス開発プロジェクトが続々と立ち上がり、イノベーションを目的とした社内コンテストにも驚くほどの応募がありました。不安や危機感が転じて、自分たちでなんとかしようという意欲に変わってきた現れだったのだと思います」

 その一方で、世の中においても個人の価値観の多様化や少子高齢化社会に対する課題感などが大きく取り上げられるようになる。そうした時代の流れの中で、組織としてだけでなく、個人もまた自分や家族のための時間や仕事の生産性向上について両立を図るべく、主体的に考える人が増えてきていた。

「きっかけは組織再編でしたが、時代にも背を押されて『今なら』というタイミングだったのだと思います。実際、当社でも2020年には40代以上が6割以上を占めることが明らかでしたし。介護負担が増えることが必然で、かねてから子育て支援なども含め、働き方の多様性を求める声は多くありました。そこで、それまで部門ごとに行われてきた取り組みや温めていた施策などをまとめ、改めて全社的な活動につなげようと考えたわけです」(林氏)

 それが2016年9月に開始された「ワークスタイル改革運動 カエルキャンペーン」だ。「健康で無理のない労働時間・環境の整備」「柔軟な発想による新規事業の創出」、そして「多様性を尊重する組織風土の醸成」を目的とし、「柔軟な働き方」「労働時間の削減」「コミュニケーション活性化」などの施策によって、個人の多様性・働きがいと経営効率・生産性向上を両立できるよう促したのである。

 現在、メイン担当として事務局を担う金子竜也氏は、「組織再編で人事総務部門の人数も以前の1/3になり、社員減でも業務内容がさほど減ることがない状況下で、既存業務の効率化は大きな課題でした。生産性向上に取り組みつつ、どうせなら新しい組織でみんなが元気になれるような施策に取り組みたかったんです」と熱く語る。

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密なコミュニケーションと真摯な徹底が成功の鍵

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

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