『センスメイキング』著者に佐宗さんが聞く、AI時代に人間に残された「深い洞察による批判的思考」とは?

ゲスト:ReD Associates 創業者/同社ニューヨーク支社ディレクター クリスチャン・マスビアウ氏【前編】

 日本でも2018年11月に刊行され話題となった『センスメイキング』。AI時代にアルゴリズムなどによる意思決定がビジネスでも活用が進むなかで、人間がすべきことは何かを人文科学の観点から問う内容だ。
 共創型戦略デザインファームBIOTOPEの佐宗邦威氏による、『センスメイキング』著者・クリスチャン・マスビアウ氏へのインタビューを前後編にてお届けする。前編では、マスビアウ氏のキャリアの人文科学的な背景、自身のコンサルティングファームReD Associatesで大切にしている「深い洞察」「批判的思考」から得る、「問いの見出し方」などを聞いた。

[公開日]

[語り手] クリスチャン・マスビアウ 佐宗 邦威 [取材・構成] フェリックス清香 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 事業開発 ビジョン センスメイキング 洞察 人文科学

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『センスメイキング』著者、クリスチャン・マスビアウ氏が人文科学を重視する背景

株式会社BIOTOPE CEO / Chief Strategic Designer 佐宗邦威氏(以下、敬称略):今回は、お時間をいただきましてありがとうございます。『センスメイキング~本当に重要なものを見極める力』は昨年の発売以来、日本でも非常に注目を浴びています。日本のビジネス界でも、事業や会社の存在意義を捉え直すことが、“経営層にとっての実務”として認識され始めたという印象があります。

センスメイキング画像:『センスメイキング~本当に重要なものを見極める力』(クリスチャン・マスビアウ・著 / プレジデント社・刊)

 私は、今年の3月に『VISION DRIVEN〜直感と論理をつなぐ思考法』という本を出版しました。この本で私は、ビジネスでの共通言語である「KPI」のリニューアル、競争戦略や問題解決としての「デザイン」を越えた、個人や企業のビジョンづくりを行なう「ビジョンデザイン」などを、提起しています。日本のビジネス書としては異例の、一ヶ月で8万部売れるという結果になりました。

VISION DRIVEN画像:『VISION DRIVEN〜直感と論理をつなぐ思考法』(佐宗邦威・著 / ダイヤモンド社・刊)

 マスビアウさんは著書で事業のビジョンの意義そのものを掘り下げて行く必要性を論じていらっしゃいます。その点を含め、内容に共通するところが多いからか、日本では併読する方も非常に多いです。今後のイノベーションや企業のあり方の新しい流れについて、深い対話できるのではないかと、楽しみにしていました。

ReD Associates 創業者 / ニューヨーク支社ディレクター クリスチャン・マスビアウ氏(以下、敬称略):まずは、ありがとうございます。そして8万部! それはすごいですね。英語に翻訳されているのですか? まだなら、ぜひしたほうがいいですよ(笑)。私も今回のインタビュー、楽しみにしています。

佐宗:マスビアウさんは、ReD Associatesという新しいタイプの戦略デザインファームを経営されていますね。ReD Associatesに至るまでのマスビアウさんのキャリアを、まずは教えてください。学生時代は政治学と哲学を専攻されていましたよね。私も実は大学時代に法律を専攻していたことがあり、そういう意味でも興味を持っていました。

マスビアウ:大学時代は政治学を勉強してたのですが、政治家になりたかったわけではないんです。政治学を専攻したのは、人がどうやって意思決定をするのか、社会がどうやってまわっているのかに興味があったからです。

 そのうち、政治学で扱っていることは表層的だと感じるようになりました。私が本当に関心があるのは人だと気付いたのです。そして哲学を勉強することが重要だと思うようになりました。社会学や哲学、政治学や文化人類学などの人文科学を突き詰めて勉強していくと、参照された論文が同じだと気づくことはよくありますからね。その頃は勉強がおもしろく、アカデミアの世界で教授として自身のキャリアを終えたいと思っていました。

 でも、アカデミアの世界に足を踏み入れた実感としては、この世界ではうまくやっていけないと思うようになり、ReD Associatesという会社を作ることにしました。

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