「適切な料金のプライシング(値決め)を可能にする技術」であるPriceTechは、米国ではスポーツ・食品スーパーなど幅広い領域で活用が進んでいる。全ての製品・サービスでプライシングは必ず行われるものの、国内では属人的で、テクノロジーが関与する余地が残されたままだった。近年、PriceTechサービスが登場しIT・AI・ビッグデータ等を活用し、企業成長につながるプライシングを実現している。
今回のカオスマップでは、PriceTechサービスを価格決定のタイミング毎に3つのセグメントでまとめている。
ダイナミックプライシング
- 主に需要と供給、競合の価格を分析することにより、最適価格を導出する形式
- 季節影響による繁閑のムラが多い業界(ホテル、航空券、テーマパーク)に加えて、需給がリアルタイムで大きく変動する業界(タクシー、運送)へ導入が進んでいる
プレプライシング
- ユーザーが購入前に価格決定に参画する形式
- オークションや競り、交渉など3カテゴリーの中では消費者にとって最も馴染み深いもの
ポストプライシング
- ユーザーが製品やサービス利用後に価格決定に参画する形式
- シェアリングエコノミー、新製品、エンタメなどへの導入が始まっている。
- 3つの中では最も若いカテゴリー
それぞれのカテゴリーの近況を以下のように挙げた。
ダイナミックプライシング:AI活用、業界特化プレイヤー等が登場
- AI活用等により3つのカテゴリーの中で最も活性的
- 業界特化、オートメーション範囲の拡大などよりユニークなサービスが登場している
- 市場規模の大きい業界大手への積極導入が進んでいる
プレプライシング:自社テクノロジーによる環境整備が順調
- 大手ECモールやCtoCプラットフォームにおける自社開発が主流
- 個人が出品を行う上ではオークション式、交渉式共に充分な環境が国内でも整っている
- UI/UXの設計が重要なため、スマホアプリを提供しているサービスが多い
ポストプライシング:ユーザー主義の象徴として市場が立ち上がる
- 新規ムーブメントとして市場が形成され始め、「チップ式」以外の製品価格自体へのプライシングサービスが登場
- 新商品・新サービス・エンタメ領域で活用が進み、顧客からの信用形成、プロモーション・PRを目的として実施されている