2016年以降、第二次「VR元年」と言われ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用したVR(Virtual Reality、仮想現実)市場は急速な盛り上がりを見せた。中でもスマートフォンを使用する「スマホVR」は手軽さとコンテンツ流通の仕組みが確立されていることに加え、Googleが対応プラットフォームの開発表明をしていたことから、早期の普及が期待された。しかし、Googleの開発計画が凍結されてしまい、「スマホVR」の先行きは不透明な状況となった。
一方、AR(Augmented Reality、拡張現実)についても同時期にスマホゲーム「Pokémon GO」がブレイクした。一度はブームが下火となったARだが、同ゲームの世界的成功により再びARが脚光を集める事となった。更にSNS(ソーシャルメディア)の普及に伴い写真投稿サイト「Instagram」が人気となった。同サービス向けに360°パノラマで撮影した作品を投稿する動きが広まっている。
しかし、市場の期待とは裏腹にXR・360°動画市場の拡大は緩やかであり、2019年の国内XR・360°動画市場規模(事業者売上高ベース)は3,951億円を見込む。ハードウェア、ソフトウェアの問題に加え、ビジネスモデルの構築が進んでいない事がその大きな要因となっている。
2020年から5G導入が本格化し、2022年以降にはエリアカバレッジをはじめ、5Gの環境整備が進む可能性が高い。5Gの特徴である高速・大容量通信を生かして、XR・360°動画市場も大きく発展する見通しだという。それによって、2025年の国内XR・360°動画市場(事業者売上高ベース)は1兆1,952億円になると予測している。