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「マージン」で儲けるのではなく「体験」を提供するRaaS戦略──b8ta日本法人代表北川氏に聞く

ゲスト:ベータ・ジャパン合同会社 カントリーマネージャー 北川 卓司氏

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 米国では大手小売チェーンがいくつも倒産、テナントが埋まらないショッピングモールも続出するなどといった状況が相次ぎ、ヨハネの目次録(アポカリプス)に倣って「リテールアポカリプス(小売の最後の日)」という言葉がメディアを賑わせている。一方、そんな状況下の米国であえて起業し、快進撃を続ける新しいタイプの小売店がある。米・サンフランシスコ発の小売ベンチャー企業b8ta(ベータ)だ。この夏、b8taは日本に上陸する。b8taのビジネスモデルや快進撃の秘密、日本進出の経緯、b8taの掲げるRaaSで重要になるものとは何だろうか。ベータ・ジャパンのカントリーマネージャーである北川卓司氏に聞いた。

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「マージン」で儲けるのではなく「体験の価値」を提供する

 b8taは2015年にサンフランシスコで誕生した小売ベンチャー企業である。大手小売業が多くの店舗を閉めていくなか、店舗体験に価値があるとスタートした。2020年1月現在、米国内23店舗、ドバイに1店舗を構えることからもわかるように、スピーディに展開をしている。

 b8taのビジネスモデルはRetail as a Service(RaaS:サービスとしての小売)である。「リテールを通じて人々に“新たな発見“をもたらす(Retail Designed for Discovery.)」をミッションに掲げ、消費者に商品を楽しんでもらうことを最重要視しながら、店舗内の区画を様々なブランドに月額払いのサブスクリプションモデルで提供している。

「オフライン版のマーケットプレイスだと考えてもらうとわかりやすいと思います」

と北川氏は説明する。

 メーカーなどの企業が実店舗を持とうとする場合、大きなコストがかかる。たとえば店舗のロケーションを探すのにも、店舗の施工にもコストがかかるし、店舗ができた後も運営のための従業員の手配、スタッフのトレーニング、シフトの管理、在庫管理等、多種多様なコストが発生する。それを一手に引き受け、月額の出品料のみで提供するのがb8taのビジネスモデルである。

 米国b8taにはこれまでに1000以上のブランドが出品し、5000万件以上の消費者と商品の接点を生み出してきた。世界24の実店舗に年間300万人以上の来店客が訪れている。

 出品ブランドは、認知度を上げたいスタートアップ企業も多い。ECでビジネスを立ち上げた後、潜在顧客に商品・サービスを実際に使ってもらって開発にその声を生かしたり、純粋に知名度や認知度を上げたりすることを目的にb8taを利用している。

 またサブスクリプションモデルの企業も出品しているのがユニークな点だ。通常、サブスクリプションモデルを小売店で販売するのが難しい。しかし、b8taの場合は、売り上げからマージンを得るわけでもなく、純粋に消費者に商品サービスを楽しんでもらうことを目標に掲げているため、サブスクリプションモデルの商品・サービスを提供する企業にとっても親和性が高いという。

 それからソースネクストの翻訳機POCKETALKのように、米国での反応を見たい日本や世界の企業がテストマーケティングとして出品することも多い。というのは、米国では家電量販店が日本に比べて少なく、全国展開をしている企業が少ない上に、量販店では実際の商品に触ってみることができない状態で販売されていることも多いからである。

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