花王の経営戦略の主要項目となった「DX」とその推進体制とは
花王のDXは、先端テクノロジにより社内の生産性向上を担う「先端技術経営改革部」、既存事業のDXを進める「DX戦略推進センター」、新規事業創出を担う「デジタル事業創造部」の3部門により推進されている。
今回取材した「DX戦略推進センター」は、「デジタル事業創造部」とともに2021年1月に発足した。とはいえ、いわゆるDXに関するプロジェクトはそれ以前から各々で取り組んでいたが、各部門に散らばっていたデジタル人材が集結し、全社を挙げてDXが本格的に始動した。
DX戦略推進センターは4つの部署から構成されており、デジタルアセットマネジメント(デジタル素材の管理。花王の場合はWebコンテンツだけでなく、商品画像やテレビCM映像なども含まれる)を担うのが「マーケティングプラットフォーム部」。オウンドメディア、専業EC、カスタマーサクセス、カウンタービジネスの4つの基盤の設計・開発・保守・運用を業務とする。
今回取り上げる「製品カタログサイト」のリニューアルプロジェクトは「オウンドメディア開発を軸にした消費者サービスの再設計」という位置付けになる。
後藤亮氏(以下、後藤氏)はマーケティングプラットフォーム部の部長、田中剛氏(以下、田中氏)は同部プラットフォーム開発1室室長という立場からこのプロジェクトを推進。ベースとなるコンテンツマネジメントシステム(以下、CMS)はアドビ提供の「Adobe Experience Manager(以下、AEM)」、デザインやフロントエンドの設計・開発はコンセント、インフラ・バックエンドの設計・開発は伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)という体制で進められた。