テレワークの導入で見えてきたデジタルツールの課題
新型コロナウイルス感染拡大の防止策の一環として、国や地方自治体の在宅要請を受けてテレワークに積極的に取り組んだ企業が増えました。2020年4月に株式会社セールスフォース・ドットコムとWalkMe株式会社が共同で開催したウェビナーで、申込時にアンケート調査を実施したところ、「既にテレワークを実施している」と回答された方は、96%にも上りました(回答数:224)。
ところが、実際にテレワークを実施するうえで、さまざまな悩みに直面していることが明らかになります。たとえば、「テレワークをするにあたってお困りのことはありますか?」という質問に対して、以下のような回答が寄せられました。
最も多かったのは、「チームメンバー等の業務状況、作業進捗が見えづらい」(29.5%)と「業務用のツール、プラットフォーム等がリモート対応できるように整備されていない(紙・印鑑・エクセルなど)」(28.6%)でした。元々テレワークに対応したコミュニケーションツールや業務用ツールがきちんと整備されていないため、社内にいるときと同じように業務が円滑に行えないという、社内のデジタルインフラ整備に関する悩みです。
その一方で、「Salesforceの定着化により難しさを感じる」(15.2%)、「集合形式のSalesforceのトレーニングができない(新入社員や人事異動者など)」(6.7%)と回答された人も多くいます。テレワークのデジタルインフラとして活用できるSalesforceは既に導入しているが、オフィスなど一ヵ所に集合できないので、その利活用を促進するトレーニングやコーチングが実施できないという悩みです。特にアンケートを実施したときは、新年度を迎える時期だったので、新入社員や人事異動者へのSalesforceのトレーニングを迅速に行うことが求められていました。ところが、予定していた集合研修が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施できなくなり、その結果、Salesforceの定着化が思うように進まないというジレンマに陥っていたと読み取れます。
しかし、こうした悩みは決して一時的なものではありません。今回のようなパンデミック対策や働き方改革の一環としてテレワークを継続的に推進していくためには、単にテレワークに対応したデジタルツールを導入するだけではなく、その利活用を促進するために、社員への定着化をいかに効果的に実施できるかが重要なポイントになるからです。