この調査結果では、大企業のDXの進捗について、9割近くが自社のDXについて加速させる必要があると回答しており、さらにこれらの企業の7割以上がDX推進に課題や遅れがあるか、計画が立っていないと評価していることがわかった。
約9割のスタートアップは、民間企業や官公庁・地方自治体と連携したDX推進に関心があると回答している一方、スタートアップの6割は、DX導入の準備が整っていると思う大企業の割合を「4割未満」と回答している。
大企業は、DX推進にあたり重要と感じるアプローチ・技術について、「データ化(情報の可視化・管理・運用)」(80%)、「遠隔・リモート技術」(55%)、「AI」(47%)、「IoT」(42%)と回答している。また、具体的にどのような領域でのDX施策が必要かについては「在宅勤務環境整備」(55%)、「営業活動・商談」(52%)を過半数の回答者が挙げていた。
大企業のDX推進で課題と感じる事項では、「組織・従業員のデジタルリテラシーが低い」(49%)に次いで、「DX推進に向けたガバナンス・指揮系統が存在しない」(40%)、「DX計画・戦略が不在」(39%)、「レガシーシステムからの切り替えが難しい」(39%)となり、変革が停滞する背景には、人材面、マネジメント面、技術面と多様な課題があることがわかった。
デロイト トーマツ ベンチャーサポート 代表取締役社長の斎藤祐馬氏は、「大企業のDXの課題が多様である状況においては、それを打破するための戦略や計画、指揮命令系統といったリーダーシップに関する課題に着目すべきです。本格的にデジタルに強い若手を登用するなど大胆な突破口を検討することも必要です。このままでは大企業がコロナ禍の非接触型社会へのシフトにおいてもDX施策のスピードが追い付かなくなるリスクとともに、大企業がスタートアップのサービスのユーザーとなって日本経済の活性化を後押しする役割も果たせないでしょう」とコメントしている。