平成の「失われた30年」、日本では新産業が生まれていない
留目氏は1994年に新卒で商社に就職。その後、外資系コンサルやレノボ社長などを経て現職に至る。SUNDREDのビジョン「新しい産業を創る」には、留目氏が自身のキャリアを振り返って抱く問題意識が込められている。
「26年間それなりに頑張って実績を残してきたつもりでしたが、振り返ってみるとその間、日本経済はまったく成長していない。誰かが創ったゲームの中で頑張るのではなく、何かまったく新しいものを創り出さないといけないのではと思うようになりました」(留目真伸氏)
昔ながらの大量生産・大量消費のパラダイムは終わり、すでに新しいパラダイムに移っていることは、多くの人がすでに感じているところ。それにも関わらず、どんな新しい世界を創っていくべきなのかという「目的」に関する議論が、十分になされていないと留目氏は言う。
「大企業もスタートアップも中小企業も地方もそれぞれ頑張っていると思うのですが、どれも個別の手段の話に終始していて、いまだに全体としては古いパラダイムの中で物事が動き続けているように見えるのです」(留目真伸氏)
事業レベルでなく産業レベルで新しいものを創る必要があると言う留目氏の指摘には入山氏も同調する。
「平成の失われた30年で世界の時価総額ランキング上位から日本企業の姿は消えました。変わって上位を占める外国企業はGAFA以下そのほとんどが新産業の担い手であり、既存産業のプレーヤーは稀。つまり、この30年の日本の凋落は日本で新産業が生まれなかったからだと言えるでしょう」(入山章栄氏)