2021年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドは、次の通り。
振る舞いのインターネット
多くのテクノロジが人々の日常に関する「デジタル・ダスト(粒度の小さいデータ)」を捕捉して使用できるようになっており、振る舞いのインターネット(IoB:Internet of Behaviors)と呼ばれる状態が生じている。IoBは、顔認識、位置情報の追跡、ビッグ・データといった、個人に焦点を絞ったテクノロジを組み合わせ、結果として生じたデータを、関連する人の振る舞い(現金での購入、デバイスの使用など)に結び付けるもの。
トータル・エクスペリエンス
ガートナーは2019年に『2020年の戦略的テクノロジ・トレンド』としてマルチエクスペリエンスを紹介したが、『2021年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド』では、この概念をさらに発展させてトータル・エクスペリエンス(TX: Total Experience)としている。TXは、マルチエクスペリエンスを、カスタマー・エクスペリエンス、従業員エクスペリエンス、ユーザー・エクスペリエンスと結び付ける戦略。ガートナーは、今後3年間で、TXを提供する組織は競合他社を上回る主要な満足度評価指標を達成すると予測している。
プライバシー強化コンピュテーション
プライバシー強化コンピュテーションは、機密性やプライバシーを保持しながら、使用中のデータを保護する(ここでのコンピュテーションとはプライバシー保護のための暗号化、秘密計算といった処理を指す)。
分散クラウド
分散クラウドとは、パブリック・クラウド・サービスをさまざまな物理的な場所に分散させ、パブリック・クラウド・プロバイダーがサービスのオペレーション、ガバナンス、進化に対する責任を引き続き負うというもの。
場所を問わないオペレーション
場所を問わないオペレーションとは、あらゆる場所に存在する顧客をサポートし、従業員がどこでも仕事ができるようにし、分散インフラストラクチャ全体にわたるビジネス・サービスの展開を管理するように設計されたITオペレーティング・モデルを指す。
サイバーセキュリティ・メッシュ
サイバーセキュリティ・メッシュによって、資産や人がどこに存在するかを問わず、誰もがあらゆるデジタル資産にセキュアにアクセスできるようになる。
インテリジェント・コンポーザブル・ビジネス
有益な情報にアクセスしてそれに俊敏に対応することで、意思決定を抜本的に改革する。たとえば、将来的には、データと洞察で構成される豊富なファブリックによって、マシンの意思決定が強化される。
AIエンジニアリング
AIエンジニアリングでは、機械学習やナレッジ・グラフといった、運用化されたさまざまなAI/意思決定モデルのガバナンスとライフサイクル管理に重点が置かれる。
ハイパーオートメーション
ビジネス主導のハイパーオートメーションとは、企業が規律をもって、できる限り多くの承認されたビジネス・プロセスとITプロセスを迅速に特定・精査し、自動化するアプローチ。