地政学の観点からみる中小国のデジタル戦略
尾原:日本では既存権力が強くて動きが遅くなりがちですが、東欧などはなぜそれを乗り越えられるのでしょうか。
塩野:その点は自分なりに色々考えましたが、中小国として本気で生き残りをかけているからだと思います。たとえば、北欧やバルト三国のスタートアップは自国市場をまったく見ておらず、最初からグローバル狙いなんですね。これはSpotifyが良い例です。また、私が投資しているエストニアのBoltという企業はUberを競合とする事業を行っているのですが、彼らも中東やヨーロッパで小刻みにUberを倒してシェアを伸ばしています。最初からグローバル狙いの理由は、自国市場が少ない点と、目立っていないと国際社会からすぐに忘れられてしまう危機感があるからです。私がフィンランドに住んでいた時に34歳の女性首相が誕生しましたが、別に若い女性ばかりの内閣というわけではなくグレーヘアもいますが、それでも「生き残るためにみんなでやるしかない」という考えを共通してもってますね。