Gartnerが2020年7~12月に実施した2021年CEOサーベイでは、北米、欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋地域におけるさまざまな業界、売上高、規模の企業に属する、465人の現役CEOおよび上級ビジネス幹部から回答を得ている。
CEOは「デジタル」を最優先
CEOにとって、「テクノロジ関連の変更」は2番目の最優先課題だった。このCEOサーベイでは、今後2年間(2021~2022年)にわたる企業の戦略的なビジネス上の最優先課題の上位5項目を自由記述で回答するよう依頼。こうした回答において「デジタル」というシンプルな単語を使うCEOが増えており、2021年の調査では5人に1人が使用していました。また、2021年にCEOが投資の増額を予定する唯一のカテゴリは「デジタル能力」だった。
ビジネス上の最優先課題を回答する際に「デジタル」という単語を自発的に使用するCEOが増加
CEOは、自社の業界に最大の影響を及ぼす具体的なテクノロジとして人工知能(AI)を挙げている。調査対象となったCEOの30%以上は、量子コンピューティングは長期的なビジネス計画に大いに関連するものの、その具体的なイメージはつかめていないと回答している。
ブロックチェーン、5G、AI、量子コンピューティングは、新たな米中経済摩擦の最前線にあるテクノロジで、CEOの3分の1は、これらを巡る米中貿易紛争の激化が自社のビジネスにとって重要な懸念材料だとしている。
相次ぐ買収・合併(M&A)を予期
CEOにとって3番目の戦略的ビジネス優先課題は「企業行動」であり、その具体例として最も多く挙げられたのはM&Aで、回答率は前年比で75%増となった。これは、景気後退期にあっても競争優位性を追求するCEOと上級ビジネス幹部が、企業買収を通じて構造的な無機的成長を目指していることを示しているという。
最優先課題である「成長」の詳細として、企業の業界や規模にかかわらず、「売り上げ」と回答した割合は大幅に減少した一方、「新規市場」に関する回答は著しく増加した。
CEOはビジネスに対する社会的影響を認識
CEOの80%以上は、ハイブリッド・ワークへの恒久的移行など、今回のパンデミックに起因する社会的な行動変容が永続するとみている。また、顧客行動の変化も予測されている。これに関するCEOの最大の懸念は、特に旅行業界などで顧客の需要が抑制されること、さらには、消費者や最高財務責任者(CFO)も同様に関連支出を控えるのではないかということだという。
多くの国で持続可能性や社会的公正に関わる重要事項が国民の関心の的になる中、CEOの39%は、企業が社会的公正における自社の立場を積極的に示すことはビジネスにとって有益であり、従業員も全体的に同意見であると回答している。これは、残りの61%は本件に対する企業の姿勢が定まっておらず、変動的な領域で自信を持ってビジネスを舵取りするのに不安を覚えるCEOが多数いることを意味している。CEOのほぼ半数(45%)は、気候変動の緩和策がビジネスに大きな影響を及ぼしていると回答している。