世界で台頭する倉庫ロボットスタートアップ
2012年にアマゾンがロボットメーカーのKiva Systems(キバ・システムズ)を7億7,500万ドル(約885億円)で買収した一件を皮切りに、グローバルで倉庫ロボットスタートアップが台頭し、倉庫ロボットの開発競争が始まりました。
アメリカでは、多数の倉庫自動化を手掛けるスタートアップ企業がプレゼンスを増しており、inVia Robotics(インビアロボティクス)やVecna Robotics(ベクナロボティクス)といった企業名を耳にしたことがある方も多いと思います。アメリカのみならず、中国でもAMR(Autonomous Mobile Robot、自律型ロボット)を開発するSyrius Robotics(シリウスロボティクス)やForward X(フォワードエックス)、ACR(Autonomous Case-handling Robot、自動ケースハンドリングロボット)を開発するHAI Robotics(ハイロボティクス)、立体型仕分けロボットを開発するHC Robotics(エイチシーロボティクス)等のスタートアップ企業が台頭し、しのぎを削っています。
近年では倉庫ロボットスタートアップ企業の買収も盛んに行われています。2019年には、ECプラットフォーム運営会社であるShopify(ショッピファイ)が、倉庫自動化を得意とする物流ソリューション会社の6 RIVER SYSTEMS(シックスリバーシステムズ)を4億5,000万ドル(約477億円)で買収しました。直近では、2021年8月に物流機器などをグローバルに販売するZebra Technologies(ゼブラ・テクノロジーズ)が、自律搬送ロボットを手掛けるFetch Robotics(フェッチ・ロボティクス)を2億9,000万ドル(約319億円)で買収しています。
また、倉庫ロボットスタートアップ企業を取り巻く環境として、アメリカでは未公開企業の買収を目的とするSPAC(特別買収目的会社)が高い注目を浴びています。IPOプロセスを簡略化できることからアメリカでのSPACの上場件数および調達額は近年急増しており、SPACを活用した倉庫ロボットスタートアップのIPOも増加すると思われます。
このように、倉庫ロボットスタートアップ各社の活発な動きにより、グローバルの倉庫ロボット市場は着々と黎明期から成長期へと向かっています。では、それに対するユーザー企業側の動きはどうなっているのでしょうか。