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商社から見る物流の将来像

循環型経済実現の鍵を握る「X次流通」とは──消費者からの発送を促す「ファーストワンマイル」の取り組み

第6回 X次流通市場を活性化し、社会をもっとサステナブルに

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 SDGsの達成目標年である2030年まで残り10年を切り、循環型経済(サーキュラーエコノミー)に社会的な注目が集まっています。サーキュラーエコノミー実現に向けた鍵となるのが、従来の「1次流通(新品市場)」と「2次流通(リユース品市場)」では区別できない「X次流通」という多様な流通階層です。連載最終回となる今回は、X次流通の概要と、今後の活性化に着目した各社事例をご紹介します。

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消費行動の変化によって生まれた「X次流通」とは?

 近年、消費行動は2つの側面で大きく変化しています。1つはオンライン購買への移行促進です。2020年の日本国内における物販系分野の消費者向け電子商取引(EC)市場規模は、前年対比121.7%の12.2兆円と大きく伸長しています。もう1つは、「所有から利用」「コト消費」といった価値観の変容です。ここ数年、「サブスクリプション」「シェアリングサービス」「フリーマーケットアプリ」などのキーワードが急激に浸透し定着しています。消費行動の変化によって流通市場の多層化が進み、従来の「1次流通」「2次流通」のみでは区別することのできない、「X次流通」ともいえる多様な流通階層が生み出されました。

 1次流通とは、新品を扱う流通階層です。また、2次流通は、一度消費者の手に渡った商品が、再度市場で販売される商品(リユース品)を扱う流通階層です。2次流通市場は、GEOやブックオフに代表されるような、企業が消費者向けに商取引を行う「B2C」と、メルカリやラクマといったフリマサービスに代表される、消費者同士で商取引を行う「C2C」に大別されます。

 ところが近年、以下のように1次流通と2次流通の区別が曖昧な購買行動が広がっています。

  • 2次流通市場の販売価格をオンラインで調べてから、1次流通の店頭で購入する
  • 2次流通市場での売却を前提に、1次流通で新品を購入する
  • 2次流通市場で入手したリユース品を試してから、1次流通で新品を購入する

 また、事業者サイドでも、1次流通事業者が新品販売価格を決める際、2次流通市場でのマーケットバリューをベンチマークするケースも広がっています。

 さらには、以下のように新たな流通階層も登場しました。これらを総称したのが「X次流通」です。

  • 0次流通:クラウドファンディング事業など、製品化前の案件の取り扱い
  • 0.5次流通:新品購入前のトライアルユースを目的としたリユース品購買やレンタルサービス
  • 1.5次流通:新品購入後の商品返品や非稼働在庫、新古品などの取り扱い
  • 3次~流通:リユース品の再売却

 経済産業省の調査では、購入後1年間に不要となった製品の推定価値は、約7.6兆円にのぼると推定されています。これをX次流通市場とすると、その拡大のためには、自分には不要となったモノを売却する消費者を増加させ、より多くの商品を流通させる必要があります。

 売却時には、出品、梱包、発送、その他、多くの作業負荷がかかりますが、中でも物理的な物の移動がともなう発送には多くの労力を要するため、消費者にとって大きなペインポイントになっています。生活者にモノが到達するポイント、つまり、荷物受取である「ラストワンマイル」と対になる部分であり、「ファーストワンマイル」ともいえる発送の利便性向上とペインポイント削減こそが、重要な要素となるのです。

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この記事の著者

三菱商事 物流開発部(ミツビシショウジ ブツリュウカイハツブ)

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