デロイト トーマツ グループは、デロイトが21ヵ国、2,083名の経営者を対象に実施した調査に基づき、日本の経営者の回答結果をまとめた「2022年CxOサステナビリティレポート」を発表した。今回の調査では、ビジネスリーダーたちが気候変動をどのように捉え、行動し、ビジネス戦略を変革しようとしているのかについて考察する中で、顧客や従業員といった個々のステークホルダーへのメリットやプレッシャーの認識、アクションといった点で日本とグローバルの経営者の意識の違いが浮き彫りになったという。
「世界は気候変動への対応の転機に立っている」とした日本の経営者は、8ヵ月前にデロイトが行った調査と比べて16ポイント上昇し、75%だった。さらに、日本の経営者の91%は、「ただちに行動を起こせば、最悪の影響を抑えることができる」とも回答しており、この数値は8カ月前に行った調査から32ポイント上昇している(図表1)。
日本とグローバルの経営者はともに、気候変動に関してステークホルダーからのプレッシャーを強く感じていることが今回の調査で示されている。日本の経営者の4分の3以上が、「消費者/クライアント/顧客」(78%)、「銀行」(78%)、「規制当局/政府」(77%)、「取締役会/経営陣」(75%)から、気候変動のアクションに対してプレッシャーを感じていると回答している。このことから、気候変動への取り組みは、様々なステークホルダーから対応を迫られるテーマとなっており、その対処次第で経営課題になりうるリスクであることが伺える。さらに、日本では、銀行からのプレッシャーがグローバルよりも23ポイント高くなる一方、従業員からのプレッシャーはグローバルよりも4ポイント低い回答だった。また、「競合他社」もグローバルより7ポイント高い73%となっており、日本の経営者は社外のステークホルダーの動向を強く意識していることが表れている(図表2)。
自社の気候変動への取り組みがプラスに働く分野については、「ブランド認知と評判」が日本・グローバルともにトップに挙げられている一方で、グローバルの経営者は日本に比べて「顧客満足度」、「従業員の士気とウェルビーイング」、「投資家へのリターン、満足度」の回答が高かった。特に、「顧客満足度」や「従業員の士気とウェルビーイング」では日本の経営者よりも10ポイント以上高いうえ、「従業員の採用と定着」をメリットと感じる数字も高くなっている(図表3)。
気候変動への取り組みとして企業が既に講じているアクションとしては、日本、グローバルの経営者ともに、「エネルギー利用の効率性向上」、「より持続的な原材料の使用」が上位2項目に入った。日本の経営者たちの回答からは、「再生可能エネルギーの購入」が3位に、「異常気象のリスクに保険の購入」が4位に選ばれており、社外からの購入という選択肢を積極的に取り入れていることが窺える。一方、グローバルの経営者は、「従業員教育」(4位)や「飛行機による移動を減らす」(5位)を挙げており、最も身近なステークホルダーである従業員との関わりを高めながら、その意識や行動の変化を促していることが示された(図表4)。