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EdTech 2.0:教育×テクノロジー

教育とテクノロジーの溝を埋める「ブリッジEdTech」と「場づくり」

連載「EdTech 2.0:教育×テクノロジー」 第3回

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 本連載では教育の情報化が専門であるデジタルハリウッド大学大学院の佐藤昌宏教授に、教育×ITの先端動向を解説していただく。連載3回目の今回は、ブリッジEdTechと佐藤氏が呼ぶ「アナログとデジタルのブリッジ」の重要性を語っていただいた内容をお届けします。

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教育におけるAIとは?

――教育界は、どのようにデジタル化へ向かっていくべきなのでしょうか。

 MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏は、インターネットが登場した後、すなわち「AI(アフターインターネット)」の時代に求められる9つの基本原則を「The Principles of AI」として提唱しています。その1つが「Learning over Education(教育を超えた学び)」です。

 「教育を超えた学び」とは、インターネットが登場する前のBI(ビフォアインターネット)の世界と比べ、インターネットが登場したAIの世界では、教育という制度を介さずとも、学習者が自発的に、求める学びを手に入れることができるようになることを意味します。本来、学びとは自発的に学ぶもので、教え育てる教育という概念とは異なるものですが、私たちはどこかに「学びは教育からでないと生まれない」という既成概念があるのではないでしょうか。AIの世界では、そのような概念に大きな変革をもたらします。

 すでに多くの人が日常的にオンライン上の検索、質問、動画などを利用していろいろなことを学んでいますが、教育現場、特に学校という制度の中ではまだ完全にAIになってはいないですね。

 上記の図で示すように、現状の教育の世界は、アナログとデジタルの間に大きな谷があって、AIの領域へ渡りきれていない移行期にあるといえます。

 たとえば、デジタル教育の最先端では、すべての学習履歴をビッグデータ化し、高度なアルゴリズムを開発し、学習者1人ひとりに合った最適な学びを提供する「アダプティブラーニング」に大きな期待がかけられています。
 しかし、アダプティブラーニングは、学習履歴の多くがデジタルデータ化されていることが前提であり、デジタル上での学びがごく一部しかない現状においては、デジタル化の旨味も限られてきます。つまり、まずは、1人につき1台のコンピュータなど、デバイス普及が先に必要となります。現段階ではすぐに取り入れられない現場も多いなかでアダプティブラーニングの効果を説明しても、残念ながら、なかなか理解してもらえないのが現状だと思います。
 前回お話したプログラミング教育も同様で、テクノロジーで何ができるようになるかに対してのワクワク感がない状態では、プログラミングの重要性は理解されにくいため、現在は、ITリテラシーを伝えていくことが必要な段階にあると思います。

 最終的にプログラミング教育やアダプティブラーニングは必要ということを前提としつつ、AI移行期である今後2、3年の時間軸では、現場では、アナログとデジタルを橋渡ししてくれる「ブリッジEdTech」モデルでのアプローチがより理解され、普及していくと考えています。

佐藤 昌宏佐藤 昌宏 デジタルハリウッド大学大学院 教授
デジタルハリウッド大学大学院Effective Learning Lab.主宰。「デジタル技術を活用して新しい教育を創る」を研究テーマとし、世界の教育×ITの先端動向に関する情報を広く発信している。テクノロジーにより教育にイノベーションを起こすムーブメントEdTech分野の第一人者として、EdTech系スタートアップ各社がサービスを発表し合うEdTech Japan Pitch Festival、大企業によるEdTech支援プログラムEdTech Campのプロデュースなども手がける。

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