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「獺祭」はこうして生まれた。旭酒造 桜井社長が語る「逆境経営」

ダイヤモンド社/DMN主催セミナー 旭酒造 桜井博志氏セミナーレポート

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カワウソの祭りと書いて「獺祭」(だっさい)。このユニークな名前の日本酒がここ数年大ヒットし、品薄状態が続いている。とことん美味しさを追求したこの酒の名声は、日本だけでなく、ニューヨーク、パリをはじめ世界的に広まっている。作っているのは、山口県の旭酒造。かつては「県内でも負け組」といわれた山奥の小さな酒造会社が飛躍するまでの苦難と逆境から成功までを、旭酒造の桜井博志社長が語った。

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山口の負け組の酒造から

獺祭の製造元である旭酒造は、山口県の岩国に位置する。隣にある小学校の生徒数は8人。酒造の半径5キロの人口は240名ほど。岩国の人口は10数万人、しかもその中で4番目という序列では、「市場から早く退席しろと言われているようなもの」だった。急逝した父親をついで社長になった桜井氏にとって、前途は暗澹たるものだった。県内でも圧倒的な負け組だった旭酒造にとって、不退転の賭けは「東京市場への進出」だった。

普通、酒蔵といえば、地元の名士です。地域の商工会議所でも偉い人が多い。地元に帰ると安心してもらえるし、東京でうまく行かなくて帰る会社が多い。しかし、私どもは帰るところがない。東京市場を開拓せざるを得なかったのです。しかも「山口の酒」というのは、東北の新潟や秋田のようなイメージもない。県外だけでなく、県内の農家からも見る目が厳しかった。正規ルートからは良いコメが入ってこなかった。そこで自分たちで山田錦をつくろうとしたのです。

自前で山田錦を調達

旭酒造株式会社 代表取締役社長 桜井博志 氏

ところが山田錦を作るにあたってやっぱり種もみが重要。種もみと言うのはある程度経済規模のある農業団体でないと供給されない。そこで、山口経済連合に供給を頼んだところ、門前払いされたという。翌年も、その翌年も、3年続けて頼み続けたが、具体的な説明もなく断られ、決裂してしまう。山口経済連に三行半を叩きつけた後、山田錦の自前での量産は遠のいた。しかし試行錯誤を続ける中で、あるところから山田錦の提供の申し出が有り、その後の安定的な確保につながった。

結果として、4万3千俵の山田錦の確保が出来ました。一昨年の全国生産が38万俵ですから、約一割強を、私ども山口県の一業者が買わせていただいたのですね。あの時に山口経済連が優しい言葉をかけてくれて共に手を組んでいたら、独自の購入ルートは作れなかったでしょうね。

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