アクセンチュアは、調査レポート「Uniting technology and sustainability(邦題:テクノロジーとサステナビリティの統合)~サステナブルなテクノロジー戦略から最大限の価値を引き出す方法~」を公開した。
調査の方法と結果は下記のとおり。
- 調査対象:日本、米国、英国、ドイツ、フランスなど12ヵ国11業種の、売上高が10億米ドル以上の企業の最高情報責任者(CIO)、最高技術責任者(CTO)、最高サステナビリティ責任者および各部門の幹部560名を対象にオンラインで実施
- 調査期間:2021年9月~10月
レポートによれば、調査対象企業の560社すべてが、サステナビリティ目標の達成にはテクノロジーが「重要」または「非常に重要」であると捉えていることが分かったという。
ただ、いずれの企業も統合戦略の有効性を認識している一方で、サステナビリティ目標を達成するための障壁として、「テクノロジーに関するソリューションや標準化の不足」(40%)、「複雑さ」(33%)、「意図しない結果に対する認識不足」(20%)などを挙げている。
これらの認識と実態のギャップが、企業の事業目標とサステナビリティ目標の間に背反性を生み出していると、同社は述べている。
また、CIOをサステナビリティ戦略の策定メンバーに任命している企業は49%であり、CIOがその目標達成における責務を担っている企業は45%にとどまる結果となった。
同社は、効果の高いサステナブルなテクノロジー戦略では、以下3つの取り組みを通じて、事業の成長と高いESGパフォーマンスの達成を促すとしている。
テクノロジーを活用したサステナビリティ
テクノロジーを活用して、組織全体のサステナビリティの取り組みを加速する。
調査では、92%の企業が2030年までのネットゼロ達成を目指しており、そのためにはCO2排出量の測定と削減、排除を可能にするテクノロジーの導入が不可欠だという。
加えて、「レスポンシブル(責任のある)・バリューチェーンへの移行」「顧客に対するサステナブルな商品やサービスの提供」「サステナブルな組織づくり」などにおいても、テクノロジー活用が成否の分かれ目になるとしており、今回の調査においても、生産およびオペレーションプロセスでCO2排出量の削減に成功している企業の70%が、AIを活用していることが分かっていると述べている。
テクノロジー自体のサステナビリティ
テクノロジー自体のサステナビリティを段階的に高め、エコフレンドリーな社会を目指す。
人々がインターネットを介してテクノロジーを利用する機会が増えるにつれ、IT利用によるCO2排出量も増加。「炭素効率性に優れ、CO2排出量を意識したグリーンソフトウェアの採用」「プライバシー・公正性・透明性・堅牢性・アクセシビリティに配慮した信頼性の高いシステムの構築」「適切なガバナンスの強化」に向けて、企業は優先的に取り組む必要があるという。
なお、調査対象企業560社の中で、「ソフトウェア開発のライフサイクルにおける、全ての段階でエネルギー効率を考慮している」と回答した企業はわずか2社であった。
また、調査レポートでは、ソフトウェア開発ライフサイクル、グリーンデジタルエクスペリエンス、クラウド、エッジ、データセンター、AI、分散型台帳技術、インフラストラクチャといった各分野における、CO2排出量の削減余地を示したグリーンソフトウェア開発のフレームワークを示している。
広範なサステナビリティ
エコシステムパートナーと協力してイノベーションを追求し、従来とは根本的に異なるビジネスアプローチを開発する。
国際連合が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を達成するには、企業が業界や組織の枠を越えて取り組む必要があるという。調査では、43%の企業がエコフレンドリーなテクノロジーにフォーカスした業界連携、提携、アドボカシーグループなどに参加していると述べられている。