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ニューノーマルのミドルマネジメント

強いビジョンが軸となる──Tractable堀田氏が語るグローバルビジネスとミドルマネジメントの本質

第5回 ゲスト:Tractable 堀田 翼氏

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 様々な企業が新規事業を求める中、新型コロナウイルスの流行によって就労形態も変わってきています。こういった状況の中、ミドルマネージャーは何を求められているのでしょうか。本連載では、Coupa株式会社 代表取締役社長/ジャパン・クラウド・コンサルティング アドバイザーの小関貴志氏が対談ホストとなり、グローバル企業のリーダーたちや、新しいマネジメントアプローチを提言する方々との対談を通じて、ミドルマネジメントの“型”を探っていきます。
 今回のゲストはTractable株式会社 日本カントリーマネージャー兼APAC統括責任者の堀田 翼氏。新卒でボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に入社後、iRobot Japan社の立ち上げを経て2019年、Tractableにアジアパシフィック初の社員として入社。現在は同地域に所属する50名以上の多国籍メンバーを率いる堀田氏に、グローバルビジネスやミドルマネジメントの本質を訊ねます。

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営業もマネジメントも経験していない──Tractableに至るまでの堀田氏のキャリア

小関貴志氏(以下、敬称略):堀田さんは、イギリスで2014年に創業したスタートアップ・TractableのAPAC統括責任者。世界最先端のAI技術を活用して、自動車事故や自然災害からの早期復旧という社会課題の解決に情熱を注いでいらっしゃいます。一方私は、米国に本社があるCoupaの日本法人で社長を務めています。お互いに日本やアジア地域のリーダーを担いつつ、海外に上司を持つ立場として、ミドルマネジメントについてお伺いしていきます。

堀田翼氏(以下、敬称略):私の場合は、事業会社では営業経験もマネージャーの経験もなく、APACトップのポジションになったという特殊な例です。これはTractableの創設者が、採用プロセスを通じてポテンシャルを信頼してくれたことに尽きるため、とても感謝しています。

小関:外資系IT企業の日本法人のリーダーというと、エンタープライズの営業のヘッドを経験した人が多い傾向にあります。それだけではない様々なキャリアパスがあることを、堀田さんのお話を伺いつつ示していけたらと思います。まずは、堀田さんのこれまでの歩みを教えてください。

堀田:個人的に現在のキャリアとの関連を感じるのは、中学3年生から10年以上アメリカンフットボールをやってきたことです。特に大学では150人規模の組織で、フィールドで指揮をとるクオーターバックのポジションに就いていました。そこで全体を俯瞰して戦略を練る経験を積んだことで、大局的に物事を見る仕事に興味を持ち、新卒でBCGに入社。国内企業のアジア展開などにコンサルタントとして、9年近く携わりました。

小関:なるほど。営業では、チームワークの中で司令塔でありつつ自ら攻撃の要になることを例えた「クオーターバックスキル」が重要だとされています。営業経験はないとおっしゃいましたが、きっとアメフト経験から営業にも通じるキャプテンシーを身に付けられていたのでしょう。ちなみに、BCG時代には社費派遣で米国にMBA留学をされたそうですね。

堀田:はい。リーダーシップ教育に強いケロッグ経営大学院に行きました。様々なバックグラウンドを持つクラスメイトと一緒に、朝から晩まで喧々轟々と議論する中で、国籍を超えて信頼関係を築くこと、言いたいことを相手に伝えることを学びました。

Tractable株式会社 日本カントリーマネージャー兼APAC統括責任者 堀田 翼氏
Tractable株式会社 日本カントリーマネージャー兼APAC統括責任者 堀田 翼氏

小関:2017年にBCGから独立された後は、iRobot Japanの立ち上げを経て、2019年にTractableにアジアパシフィック初の社員として入社されます。独立後のキャリアにおいて、仕事選びの軸というのはあったのでしょうか?

堀田:軸はたくさんあったのですが、重視していたのは、これまでにない新しい市場を創るようなオンリーワンの企業になり得るかということ。iRobotには、ロボットという高度な技術を初めて家庭に持ち込んだことにユニークさを感じました。

 Tractableも同様で、コンピュータービジョンというAIの中でも普及期に入ろうとしている技術を社会実装して、具体的な価値を生み出そうとしていることに惹かれました。私は仕事選びの軸が明確すぎて、希望に合致した企業に巡り会うことは滅多にありません。反対に、合致したタイミングでは必ず飛び込むようにしています。

小関:その仕事選びにおける明晰な判断基準はどこで培われたのでしょうか。

堀田:MBAの経験が大きいですね。大学院の2年間で学ぶことはもちろんですが、受験時から「あなたは何に価値を感じる人ですか?」「将来のキャリアビジョンは何ですか?」といった質問を受けます。その準備のために30歳のとき、それまでの経験をすべて棚卸しして、自分の将来について本質的に考えるという機会に恵まれました。この時間があったからこそ、その後のキャリアを迷わず選べている気がします。

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

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