EY Japanは、企業のサステナブル経営に向けた変革を支援するため、TCFDで要求される気候変動リスク・機会の財務的なインパクトを分析するツール「気候変動リスク財務インパクト分析ツール」の提供を発表した。
2017年に公表された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures/以下、TCFD)」最終報告により、気候変動が経営に与えるリスク・機会を認識し、複数の将来シナリオに基づき財務インパクトを分析することが企業に求められている。
日本では、2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂により、プライム市場上場の条件として「プライム市場上場企業において、TCFD 又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実」が求められるようになっている。
この流れを受け、企業には、気候変動への対応と経済的成果を両立させる経営戦略の再構築が求められている。また、金融機関や投資家は、投融資ポートフォリオの脱炭素化に向けて、投資行動やエンゲージメントを強化することが求められているという。
こうした背景を踏まえて、同社は以前から提供している「サステナビリティ経営コンサルティングサービス」をより効率的に、精度高く行うため、「気候変動リスク財務インパクト分析ツール」を開発。このツールにより、気候変動リスク・機会の財務的なインパクトを短期かつ高精度に分析することが可能だとしている。企業固有の情報と、さまざまな外部の関連情報をインプットし、EYが蓄積した経験とロジック、業界別ロジックを用いて分析、複数の気候シナリオにおける将来の財務影響を自動的に可視化すると述べている。
ツールから導き出される結果は、TCFD情報開示に活用できるほか、経営戦略や脱炭素戦略の立案に生かすことができるという。また、金融機関などでは、投融資の意思決定に活用が可能だとしている。
- ツール名:気候変動リスク財務インパクト分析ツール
- 提供開始日:2022年10月17日
- 特徴:気候変動リスク・機会の財務的なインパクトを短期かつ高精度に分析
分析のデータと流れは以下のとおり。
【入力 Input】外部データ連携拡大による分析精度の向上
- 個社情報:財務情報や経営戦略、CO2 排出量・削減目標など企業固有の情報
- 移行情報:気候変動をめぐる研究機関やデータ提供企業などにより提供される気候リスクシナリオや、気候変動PEST情報
- 物理情報:自然災害リスク予測などデータ、サービスを取り込むことで、分析精度を向上させるスケーラビリティを確保
【分析 Process】ロジックの蓄積による短期間での分析
- 気候変動影響を考察するための公知のロジック、および、プロジェクトを通じて蓄積したEYのノウハウやロジックを適用
【出力 Output】さまざまな意思決定に活用可能な自由度の高いレポート
- 個別の気候変動リスク・機会インパクト、シナリオ別・時系列・事業別などの切り口による財務諸表への影響などをレポート