花王とポーラスター・スペースは、パーム農園に甚大な被害をもたらしているガノデルマ病害の解決に向けて、業務提携に合意した。花王からポーラスター・スペースへ出資し、12月より、ガノデルマ病害を早期発見するためのモニタリング技術の確立を目指し、実証を開始する。
ガノデルマは、ガノデルマ属糸状菌の総称で、アブラヤシに感染すると、樹は水分伝達機能が阻害されるなどの影響で徐々に実の収量が低下し、やがて枯死する。パーム油の主要生産地であるインドネシアやマレーシアで被害拡大が問題となっているが、現時点で有効な防除方法はなく、感染樹をなるべく早く発見し、伐採することが主な対処法だという。
一方で、感染の初期は目視での判別が難しく、判別できた時には、既に周囲に感染を広げてしまっているケースが多発(図1)。現在多くの農園では、スタッフが歩いて見回ることで病害の管理をしているが、大きい農園では10万ヘクタール以上にもなるため、人件費の負担や専門家不足による診断精度低下も課題だとしている。
そこで今回、遠く離れた場所から対象物に触れずに測定できる、リモートセンシング技術などを保有しているポーラスター・スペースとともに、パーム農園でのガノデルマ病害を管理する技術の確立を目指す。取り組み内容は以下のとおり。
センサーカメラ搭載ドローンでのモニタリング技術
特殊なセンサーカメラで樹の分光情報(スペクトル)を分析することで、目視では困難な初期のガノデルマ症状を判断。このセンサーカメラをドローンに搭載して上空から撮影することで、効率的に初期の感染樹を発見して管理するモニタリング技術の開発を行なう(図2)。
パーム農園でのモニタリング技術の実証実験
花王はインドネシアやマレーシアのパーム油生産地に油脂製品の生産拠点を保有しており、サステナブルな調達を目指して小規模パーム農園までのトレーサビリティの確保を進めている。今までに構築したサプライチェーンとの協力関係を活用し、開発したモニタリング技術が実際のパーム農園において適用可能か確認する実証実験を実施する。