日本電気(以下、NEC)は、ローカル5GやAI、高解像度カメラなどの先進技術を活用して、交通状況の把握や危険性の検知を行う実証試験を、1月から3月まで米国にて実施。同実証試験は、総務省の「米国における交通信号機を活用した5G及び映像解析アプリケーションの実証試験」の委託を受けて行う。
同実証では、ITS(Intelligent Transport System)研究に取り組むバージニア工科大学交通研究所(以下、VTTI)と連携。実証で用いるローカル5Gは、米国の周波数共用方式(CBRS)にて使用される周波数帯(n78)を利用し、日本のローカル5Gの周波数(n79)とは異なる仕様にて有効性を検証するという。
また、ローカル5Gネットワーク機器として導入する基地局は、O-RAN Alliance仕様に準拠。ローカル5G基地局をVTTIのテストコースに設置し、高精細な映像データを5Gネットワークを用いて低遅延で伝送し、AIによるリアルタイムでの映像解析を行う。
具体的には、交通状況把握として歩行者や車両の自動判別、動物の進入や人物の倒れこみによる危険性検知のユースケースを評価。また、将来的に映像のデータを実用化する際、道路利用者のプライバシーを保護した上での運用を想定し、映像中の人物における顔部分をリアルタイムで覆い隠す技術も検証する。なお、今回の実証試験では個人の特定や認証を行う技術は使用していないという。
NECは今後、同実証試験での検証を活かし、将来的には国内外で交通事故の抑止、交通渋滞の詳細な把握と緩和などに貢献することを目指し、人とインフラとモビリティが協調して安全・安心に自由な移動ができるための技術開発に取り組んでいくとしている。