東芝とディー・エヌ・エーの子会社であるDeNAライフサイエンスは、両社がそれぞれ蓄積してきたゲノムデータを含むヘルスデータの利活用の協業に向けた検討を開始する。
東芝では、企業コホートという形で、1万人超えのゲノムデータおよび過去10年以上の従業員の健康診断、問診結果およびレセプトデータを蓄積。また、産業分野で培ってきたビッグデータ解析技術を応用し、将来の生活習慣病の発症リスクの予測に関するAI「生活習慣病発症リスク予測AI」の開発実績を有している。
DeNAライフサイエンスは、約12万人の会員が利用する遺伝子検査サービス「MYCODE」を展開。同サービスは、研究参加同意があった会員とオンラインでリコンタクト(サービス参加者への再コンタクト)が可能なパネルを持ち、ゲノムデータと生活習慣に関するアンケート回答などを基に企業やアカデミアと共同研究をするプロジェクト「MYCODE Research」にも活用されているという。
両社は今後、それぞれが保有するヘルスデータを基盤として、互いのデータを統合した仕組みを構築し、それを利活用するサービスの提案を検討。具体的には、以下の4テーマに関して検討を進めるとしている。
- 創薬プロセスの支援:独自の遺伝的背景を有する集団を見出し、病気のタイプに合わせた創薬標的の探索や、既存薬剤の再活用(リパーパシング)などへのデータ利活用の可能性を調査すること
- 薬剤上市後の分析支援:薬剤の副作用や合併症などの発症メカニズム、および個人差を見出すため、ヘルスデータの複合的分析を見据えたデータ利活用の可能性を調査すること
- 健康増進を支援するサービス開発:ヘルスデータを組み合わせて解析し、糖尿病や心血管疾患などの生活習慣病予防のための行動変容プログラムを構築すること
- リコンタクトパネル参加型の臨床試験・研究の運営:データベースの構築に参加した人から研究への参加の同意を取得。食品・化粧品・製薬メーカーなどの臨床研究を受託し、被験者募集やデータ収集を共同で実施すること