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“場”が生み出す新たなエコシステム

平和不動産が「FinGATE」で目指す金融スタートアップのエコシステムとは

第1回 ゲスト:平和不動産株式会社 荒大樹氏

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金融エコシステムに関わるプレーヤー集まる街、日本橋兜町

──まずは平和不動産について、そして日本橋兜町について教えてください。

荒大樹氏(以下、敬称略):平和不動産は、証券取引所の不動産管理を目的として1947年に設立された会社で、東京・大阪・名古屋・福岡等の証券取引所が入居しているビルを管理してきました。そこからオフィスや商業施設や賃貸レジデンス、アセットマネジメントと業容を拡大させ、現在では不動産の総合デベロッパーとして事業を展開しています。証券取引所が入居するオフィスの不動産管理という成り立ちから金融業界と縁深く、不動産業界の中でも少し特殊なポジションを築いているのが特徴です。

 我々が本社を置く日本橋兜町は、明治時代に渋沢栄一が拠点を構えており、東京証券取引所の前身である東京株式取引所や、日本最古の銀行である第一国立銀行など、様々な“初めて”を生み出してきた「コト始めの街」として発展してきました。その後、証券取引所がこの街の中心となり、最盛期には100社以上とも言われるほど多くの証券会社が集まって「証券の街」として栄えました。1990年代には取引システムの電子化にともなって取引のオンライン化が進み、店舗を置く証券会社も減少して街の姿が大きく変わります。そこで平和不動産は2014年に「⼈が集い、投資と成長が生まれる街づくり」をコンセプトとした「日本橋兜町街づくりビジョン」を策定。以下のようにエリアを絞って新たな「金融の街」となるよう再開発を進めていきます。そして2017年には、私も立ち上げから携わっている「FinGATE」事業を開始しました。

街づくり対象エリア
街づくり対象エリア

──2014年にビジョンを発表した背景には何があるのでしょうか?

:元々2011年に「日本橋兜町・茅場町エリアにおける再開発方針」を発表していました。先ほどご紹介した2014年5月策定の「日本橋兜町街づくりビジョン」は、同年に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂 2014」、東京都が発表した「東京国際金融センター」の構想と連動し、日本・東京の国際金融都市化に貢献していくことを掲げています。

 その後2016年には、日本証券業協会、投資信託協会、日本投資顧問業協会のワーキング・グループが、兜町への資産運用業集積方針を発表。2017年には、東京都が「国際金融都市・東京」構想を発表します。その流れを受けてのFinGATE事業の開始となったのです。

──国や都の動きと連動しているということですね。現在はどのような構想の中にあるのでしょうか。

:政府が2021年に発表した「成長戦略実行計画」、2022年に発表した「資産所得倍増プラン」、2021年に東京都が策定した「『国際金融都市・東京』構想2.0」が近しい動きですね。東京都は

  • 社会的課題の解決に貢献する金融市場の構築 東京グリーンファイナンスイニシアティブの推進
  • フィンテックの活用等による金融のデジタライゼーション
  • 資産運用業者をはじめとする多様な金融関連プレーヤーの集積

を柱として施策を展開しており、平和不動産は特に2つ目と3つ目の施策に対し、街づくりを通じて貢献をしていきたいと考えています。

 また、FinGATEで行っている金融スタートアップへの支援は、2022年に政府が発表した「スタートアップ育成5か年計画」や、同年に東京都が発表した「Global Innovation with STARTUPS」と同じ文脈にあり、現在では資産運用会社やフィンテック企業、関連する行政機関など、金融エコシステムに関わるプレーヤーが60以上集積してきています。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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