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味覚糖との共同開発で市場を拓く──ワンインチ柴田氏に聞く、CBD市場拡大のための企業連携とロビイング

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 リラックス目的や睡眠改善目的でCBDに注目が集まっています。一方で、大麻から抽出される成分ということもあり、二の足を踏む人も多くいるそうです。そんな中、2022年にワンインチが味覚糖とCBDグミを共同開発したことが話題となりました。2023年にはドン・キホーテなど店頭でも販売するなど大企業との連携で市場拡大を進めており、また、CBD議連と連携してルール作りも進めているワンインチ代表の柴田耕佑氏に、CBD市場についてお話を伺いました。

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国内外で市場の急伸が予想されるCBDとは

──味覚糖とのCBDグミの共同開発に関するクラウドファンディングを2022年の8月に実施されており、話題になっているのを拝見しました。また、その後各ECサイトや小売店で販売されるなど、消費者が手に取りやすくなってきています。そもそもCBDとはどのようなものか教えてください。

柴田耕佑氏:CBDとは「カンナビジオール」の略で、大麻の茎や種子から抽出される成分の一つで、一般にはリラックス成分として注目されるようになってきています。大麻から抽出されるといっても、大麻取締法上の「大麻」に該当する成分ではありません。なので、七味唐辛子に含まれる「麻の実」と同様に、日本でもCBDは合法とされています。

 医療目的でも使われる成分で、難治性てんかんの治療に効果があるとされています。日本ではまだ医薬品として承認されていませんが、米国で食品や医薬品を規制するアメリカ食品医薬品局(FDA)も、「オーファン・ドラッグ(希少疾病用医薬品)」としてではありますが、承認されているものです。

 グミやオイルなどがCBD製品としては一般的ですが、現在は20代前半から30代の都市部在住、健康や美容に関心があったり、睡眠に課題を抱えていたりする人たちに支持されています。

──柴田さんはなぜCBDに注目したのでしょうか。

柴田:私は過敏性腸症候群を患っており、子どものころから大事な場面になると緊張して腹痛を起こしていました。医師である母と一緒に様々な薬や漢方を試すも改善されない中で、CBDがストレス緩和に役立つかもしれないという論文を読みました。2013年ごろに個人輸入をしてCBDを試してみたところ、どの薬や漢方よりも効果を感じました。その後、米国でCBD関連のスタートアップが相次いで上場していくのを見て、今後日本でもCBD市場が拡大しそうで、かつ法整備が完全になされていない中で大企業が参入するのは難しいため、スタートアップにチャンスがあると考え、2018年に起業しました。

──CBD市場は現在どのくらいの規模なのでしょうか。

柴田:世界全体では7~8000億円、日本では、2022年に矢野経済研究所が発表した調査結果によると、2022年の見込みで約250億円、2023年の予想で約476億円とされており、2024年以降も急速に拡大していくと予想されています。

 日本での急拡大の背景には、国会や厚生労働省で大麻取締法改正の動きがあったり、CBD議連(カンナビジオールの活用を考える議員連盟)がCBD活用と市場育成に向けて議論をしていたりと、国を挙げたルールの整備が進もうとしていることがあります。

株式会社ワンインチ 代表 柴田耕佑氏
株式会社ワンインチ 代表 柴田耕佑氏

ビジネスパーソンの脳のスイッチを切り替える

──睡眠に課題を抱えている人もCBDを利用しているとのことでしたが、そのような人たちは、睡眠の課題に対してどのような効果を求められているのでしょうか。

柴田:20代前半から30代の都市部在住ということで、ハードに働くビジネスパーソンが多いと思うのですが、そのような方たちは疲れている、眠れない、睡眠時間が短い中で睡眠の質を上げたいというニーズがあるようです。

 睡眠の課題への対応だと、日中眠くなったらカフェインを摂取するというのは多くの方がやっていると思いますが、回復したいときに摂取する成分を思い浮かべる方はあまり多くないと思います。最近ではGABAやテアニンが注目されていたり、少し前には睡眠の質向上に役立つとして「ヤクルト1000」が社会現象になるほど売れていたりもしましたが、定番となっている成分はまだありません。その中で、緊張状態からリラックスに向けてスイッチを切り替えるためにCBDを摂取する人が増えてきているのだと思います。

 もちろん睡眠のために摂取する人も集中するために摂取する人もいますし、アスリートの中には試合前に摂取している人もいます。「眠るため」以外の目的でも効果を感じることができるということです。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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