ガートナージャパン(以下、Gartner)は、2022年の主要電子機器メーカーによる半導体消費に関する調査結果(速報値)を発表した。
上位10社の半導体購入額は前年比7.6%減となり、世界の半導体消費全体の37.2%を占めたという。2022年は、世界的なインフレや景気後退などの影響により、PC/スマートフォンの需要が急激に弱まった結果、主要電子機器メーカーの生産が減少したとしている。
上位10社の半導体購入企業の多くは、PC/スマートフォンの主要メーカー。Gartnerのアナリストでシニア ディレクターの山地 正恒氏(以下、山地氏)は、「PC/スマートフォンの消費者需要が急激に落ち込んだ結果、主要電子機器メーカーは生産台数および出荷台数を増やすことができませんでした」と述べている。
また、山地氏は「加えて、中国のゼロコロナ政策は、電子機器のサプライチェーンに深刻な材料不足と短期的な混乱をもたらしました。自動車、ネットワーク、産業用電子機器市場で長引く半導体不足は、半導体チップの平均単価を引き上げ、これらの市場における半導体収益の増加を加速させました。その結果、2022年の半導体消費全体に占める上位10社の半導体消費のシェアは、2021年よりも減少しました」としている。
2022年の上位10社は2021年と同じで、AppleとSamsung Electronicsは上位2社の座を維持した。また、上位10社の中で、唯一Samsung Electronicsとソニーの2社は、半導体消費が対前年比で増加した。
Appleは、半導体購入企業のトップを4年連続で維持した。同社は、自社設計のアプリケーション・プロセッサへの継続的な移行により、マイクロプロセッサ(MPU)への支出を11.7%減少させたが、メモリ以外の半導体全体への支出は2.8%増加したという。
Samsung Electronicsの2022年の半導体消費は2.2%増加し、2位の座を維持。同社は折りたたみ式スマートフォンでリードしたことに加え、中国のゼロコロナ政策が競合他社に影響を及ぼしたことで、世界のスマートフォン市場でシェアを拡大し、半導体消費拡大の要因になったという。
ソニーは、家庭用ゲーム機PlayStation 5に対する世界的な需要が継続し、2022年の半導体消費の成長率が対前年比で最も高くなった。一方、年間を通じて深刻な半導体不足と物流網の混乱が続いたため、需要水準に見合う生産量を上げることができなかったとしている。
2022年の半導体売上高の約25%を占めるメモリは、需要が低迷する中で2022年後半に価格が急落したため、デバイス別で見ると最も成長率が低い10.0%の減収であった。山地氏は、「上位10社の主要電子機器メーカーがメモリ支出の49.2%を占めているため、結果としてメモリ支出額が大幅に減少しました」と述べている。