EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)は、行動経済学・心理学など行動科学を活用し、健康増進、環境配慮、エシカル消費、老後資産形成、保険加入、デジタル活用、ダイバーシティ、エクイティ&インクルーシブネス(DE&I)、ワークライフバランス充実など、社会課題解決型の行動を促した際に生み出すことができる市場規模が、11兆1,229億円であるという結果をまとめた。
また、この試算を受け、行動経済学・心理学を起点とした経営コンサルティングサービス「BX Strategy(Behavioral Insight Transformation Strategy)」を本格化すると発表した。
近年、顕在化している主要な社会課題においては、行動経済学や心理学といった行動科学を活用して、人が生まれながらに持つ本能のメカニズムを理解することにより、社会課題を生み出す行動を抑制できる可能性が高まっているという。たとえば、脂っこい食べ物や味の濃い食べ物など、不健康だと分かっていても食べ過ぎ・飲み過ぎる生活習慣病は、「健康に悪い影響を与えないように脂っこい食べ物は控えよう」といった正論のコミュニケーションだけでは解決に至らない。「脂っこくて」「味が濃い」食べ物を否定するのではなく、血糖値や血中脂肪の上昇を抑制する飲み物と同時に摂取する、また減塩食品の選択を推奨するなど、偏食や過食を一定程度認める不完全さを許容するコミュニケーションが有効だという。
また、環境に配慮した行動を促したい場合は、「環境にやさしい行動をしよう」といった正論をぶつけるのではなく、「子供の教育上良い行動をしよう」のように、人が生まれながらに持つ強力な本能(例:わが子びいきの本能)とひも付けたコミュニケーションが有効。実際に、環境を理由に家庭内での節電行動をしない人でも、子供への教育的影響を考慮して節電行動をするようになる可能性が示されているとしている。
EYSCは、企業や組織が、ビジネスや商品、サービスに行動科学を活用して、社会課題解決型の行動を促した際に生み出すことができる市場規模を試算し、11兆1,229億円という試算結果をまとめた。
また、2022年6月に閣議決定された、今後10年間での150兆円規模のグリーントランスフォーメーション(GX)投資や、グリーンウォッシュ(見掛け倒しの環境対策)への警鐘、CO2削減貢献への要請の高まりなどから、企業による「消費者のサステナブルな消費行動への転換に対する責任」が大きくなり、企業が社会課題解決型の行動を促した際に生み出すことができる市場はさらに拡大すると考えられるという。
EYSCは、この行動科学による社会課題解決型の行動促進によって生み出される市場をビジネスチャンスと捉えるクライアントを支援するため、経営コンサルティングサービス「BX Strategy(Behavioral Insight Transformation Strategy)」の本格的な提供を開始。ビジネス、組織、商品・サービスに対して行動科学の理論・モデルを組み込むことで、社会課題解決型の行動を促し、競争優位性の高い変革を目指すクライアントを支援すると述べている。
BX Strategy
サービスの特徴
- 行動経済学や心理学など、行動科学に関するアカデミックな知見や手法をバックグラウンドに持ち、ビジネスにも精通した経営コンサルタントのチームが、経営上重要な課題を科学的なアプローチによって解決する支援を提供
- 行動変容のメカニズムを科学的に特定・分析できるEY Japan独自のモデル(ARMS:Auto-response、Realization、Motivation、Self-efficacy)や、企業経営への行動科学の適用を容易にするパッケージ化されたソリューションにより、さまざまなビジネスシーン、政策に対して、短期間で精度の高い支援が可能
- 単純なデータドリブンやビックデータの解析(無作為なデータ収集・解析と、探索的な答えの導出)ではなく、行動科学の知見に基づき精度が高い仮説を立てた上で、必要不可欠なデータのみを科学的手法に基づいて取得・解析することで、不要な試行錯誤を回避
支援例
- 官公庁:再生可能エネルギー利用を促すコミュニケーション・サービス(アプリ)の検討支援
- 電機:パーソナルデータの取り扱いに関するレピュテーションリスクとその対応策の検討支援
- 金融:安全運転アプリの開発支援、代理店における営業力の強化支援、個人顧客向け金融サービス開発支援、コミュニケーション・ガイドライン策定支援
- 自社:新卒採用におけるインターンシッププログラム、リテンション施策の支援