データ活用ができるチームに必要な4つの役割
西内氏は、スムーズなデータ活用のサイクルを実現する上で必要となる4つの役割を紹介した。
まずは、全体の意思決定を担う「ボス」。分析結果を見て仮説を踏まえ、方針を決められる人物だ。なお、これは必ずしも経営者のことだとは限らない。事業部門内でのデータ活用であれば部長が担い、課であれば課長が担うというケースのほうが多いという。
次に現場の知見を共有する「エキスパート」。データ分析のリテラシーがあり、分析結果を見たときに、データ取得や解釈についての注意点や改善方法を、現場の視点からアドバイスできる人に任せるのが理想だと西内氏は語る。特に、既存の社内制約などを熟知しているメンバーは、施策の細やかな調整などには不可欠だ。
そして、ITシステムを円滑に回せても、貯めてきたデータを活用できるとは限らない。社内のシステムからデータを活用しやすい状態に維持・管理する「データマネージャー」が必要となる。
これらのプレイヤーが揃っていれば、最後の役割である「分析担当者」がたとえスーパースターのような凄腕のデータサイエンティストでなくても、十分ビジネスや業務に活かせるデータ分析を行うことができるという。重要なのは、ボスの要望やイメージを聞き、エキスパートから解像度の高い現場の事情をヒアリングし、データマネージャーに相談しながら分析を行える仕組みが整っていることだ。
これらのメンバーがそろうことで、「意思決定」「現場」「データ」「分析」の4要素が隔たりなくつながり、データ分析のサイクルが回っていくようになる。