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ロッテHD玉塚氏らが語る、日韓スタートアップエコシステム──韓国との比較でみる日本企業の勝ち筋

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 2023年10月12日、日韓で投資実績を有するロッテグループのコーポレートベンチャーキャピタル(以下、CVC)である株式会社ロッテベンチャーズ・ジャパンの主催で、韓国スタートアップを日本にアテンドするプログラム「L-Camp Japan」が開催された。今回は、株式会社ロッテホールディングスの玉塚元一氏、インキュベイトファンド株式会社の本間真彦氏、株式会社PKSHA Technologyの上野山勝也氏による、日韓スタートアップエコシステムに関するパネルディスカッションの様子を紹介する。なお、モデレーターはロッテベンチャーズ・ジャパンの國分丈明氏が務めた。

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日本と韓国は足して2で割るとちょうどいい

國分丈明氏(以下、國分):玉塚さんはロッテという日韓を跨ぐブランドを運営されていることもあって、普段から日韓の違いを肌で感じる機会も多いかと思います。韓国の企業やスタートアップの違いについて、どのように感じているのでしょうか。

玉塚元一氏(以下、玉塚):ロッテホールディングスの重光昭夫会長ともよく話すのですが「日本と韓国は足して2で割るとちょうどいい」と感じています。韓国の企業は意思決定のスピードも速いし、やると決めたら、計画の精度が7割程度でもトライアンドエラーを繰り返しながらどんどん物事を進めていく。国がAIやロボティクスに重点投資すると決定し、財閥や大学とも連携しながらスタートアップを支援していますし、韓国は戦略性やスピード、実行力がすごいと感じています。

國分:AIの社会実装に取り組んでいる上野山さんは、韓国のAI事情やスタートアップにどのような印象を抱いているのでしょうか。

上野山勝也氏(以下、上野山):PKSHA Technologyの傘下にはPKSHA Technology CapitalというCVCがあり、韓国スタートアップにも出資しています。とはいえ数社に投資した程度で理解できるような小さなエコシステムではないので、韓国のすべてが見えているわけではありません。

 日本市場と韓国市場を越境するようなビジネスや、一方を他方に持ち込むようなビジネスモデルも今後はありえるのではないでしょうか。AIという観点では、今まさに世間で話題になっているChatGPTに関連して、ファウンデーションモデル(基盤モデル)が注目されています。日本も韓国も、ファウンデーションモデルを作るのではなく、それを活用したアプリケーションで産業をどう変えられるのかというところに軸足を置いているので、この辺りを相互に探索するとおもしろいのではないでしょうか。

株式会社PKSHA Technology 代表取締役 上野山勝也氏
株式会社PKSHA Technology 代表取締役 上野山勝也氏

國分:韓国企業に投資しても韓国のことがわからないというのは印象的です。

上野山:そうなんですよ。PKSHA Technologyはミッションに「未来のソフトウェアを形にする」を掲げ、未来においてソフトウェアがどう社会実装されるのかを探求し続けています。その観点から、「未来から今を見ると、我々は他国のことを何もわかっていないのではないか」という仮説をもっているんです。本間さんも、日本を代表するVCの代表としてグローバルに活躍しているにもかかわらず、韓国のVCはあまりわからないと言っていましたよね。

本間真彦氏(以下、本間氏):そうですね。残念ながら、韓国のVCとはほとんど交流がないんですよ。著名なVCの存在はもちろん知っていますし、友人もいるのですが、日常的にコミュニケーションがあるというわけではありません。

上野山:本間さんでも交流がないほどなので、まだ世界は狭くなりきっていないといえますよね。とはいえ、こういった状況はむしろチャンスだと思います。日本の経営者と話していると、韓国に興味があるし、実際往来もしていることがわかります。そこで、オンライン/オフラインに関わらず、日韓の経営者コミュニティを作ってn対nでつながることができれば、両国の関係は劇的に前に進むんじゃないかと考えています。

玉塚:AIの分野は米国や中国が存在感を出していますよね。そんな中、日韓が連携して取り組めることはあるのでしょうか。

上野山:まさにそこは大きなテーマだと思っています。今後は「デジタル地政学」のリスクが出てくる可能性も十分にありますし、ファウンデーションモデルは米中が話題の中心で、世界中のほとんどの国はこのゲームに参加できていないのが実情です。

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この記事の著者

納富 隼平(ノウトミ ジュンペイ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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