2026年5月11日、NECは独自のAI技術とガウシアン・スプラッティングを活用し、データ容量が非常に大きく、取り扱いが難しい従来の3D点群データから、軽量かつ高精細の3Dデータへ変換する新技術を開発したと発表した。この技術により、都市道路など広範な地形や大規模構造物の詳細な3D点群データを変換し、タブレットや一般的なパソコンで現実に近い画像としてリアルタイムに表示することが可能となる。


この技術は、自治体やエネルギー業界、高速道路事業者など、現場作業を必要とする多様なインフラ事業者を主な対象としており、デジタルツインの導入をより容易にするとしている。これにより、現地へ赴かずとも点検や計測業務のリモート化が実現し、問題発見の迅速化や現場対応の効率化、ステークホルダー間での合意形成の円滑化に資する。また、人手不足の解消や防災・まちづくり領域におけるDX推進も後押しする。
背景として、インフラ領域では人材不足が深刻化し、老朽インフラの維持管理を限られた人員で効率的に行う必要性が高まっている。点検・計測による現場データの活用は欠かせないが、従来の3D点群データは容量が大きく、高性能なコンピュータや専用サーバを必要とすることが普及の障壁となっていた。さらに既存手法では、3Dデータを拡大表示した際に奥が透けたり、現実と乖離する見た目になるなど、意思決定を難しくする課題もあった。
NECの新技術は、現場設備や建築物の形状や細部を高精細に表示できるため、遠隔からの多地点管理やリモートによる点検・判断を支援する。さらに、独自AIを活用し、点群データから多様な視点のシミュレーション画像を自動生成できるため、従来ガウシアン・スプラッティング技術で求められた膨大な現場画像が不要となっている。
データ容量についても、例えば4.4GBの点群データを0.3GBまで約90%軽量化でき、タブレットや一般的なパソコンでも高速かつスムーズに閲覧・共有ができる。これにより、リアルタイムでの情報共有、報告、協議が効率化され、合意形成の迅速化につながる。

NECは本技術の実用化を2027年度中に目指す考え。今後、インフラやまちづくりなどの分野でデジタルツインの社会実装が進むことが期待される。
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