SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

アフターデジタル最新潮流

横串機能であるDX推進組織のメンバーが担うべき役割──戦略を理解し、事業部門の成長に貢献する存在へ

【後編】ゲスト:株式会社ベネッセホールディングス Digital Innovation Partners 副本部長 水上宙士氏

  • Facebook
  • X
  • Pocket

事業部に派遣された横串組織のメンバーが担うべき役割とは

藤井:事業横断についてもう一つ気になるのが、各部門の上位レイヤーとDIPの関係です。事業横断の取り組みにおいて、DIPと各部門の責任者はどのように関わり、どのような形で意思決定を行っているのか気になります。

 ベネッセさんには「校外学習事業」、「学校向け教育事業」、「大学・社会人事業」、「介護・保育事業」の4つの事業部門がありますよね。この部門長たちとDIPはどのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか。

水上:定期的なコミュニケーションの場としては、月一回、DIPの部門長と各事業部の部門長とで定例会議を開催しています。その会議では、毎月のDIPの活動状況や活動における課題を共有し、事業部側の意見を求めたり協力を仰いだりします。

Digital Innovation Partners
出所:株式会社ベネッセホールディングス「ベネッセのDX戦略」より/クリックすると拡大します

藤井:その定例会議で具体的な顧客体験の連動を提案するわけですか。「このサービスのこの顧客接点と連動させましょう」といった。

水上:いいえ、そうした個別具体的な取り組みについては、各事業部内で主体的に行われます。定例会議で議論されるのはもう少し抽象的な論点ですね。

藤井:「各事業部内で主体的に行われる」とは、具体的にどのような動きを指すのでしょう。

水上:各事業部にはサービスごとにDIPのメンバーが派遣されているので、その者を中心に事業部内で顧客体験の連動について議論して、部門長の承認が得られれば実行するといった形です。

 例えば、学校向け教育事業では「ミライシード」というサービスを提供しています。ミライシードは義務教育向けICTソフトで、子どもに向けてAIドリルやデジタルテストを提供する一方、先生向けに学習状況の管理や教育効果の可視化などの機能を提供するサービスです。

 このミライシードのチームにも、DIPのメンバーが専任担当者として派遣されており、事業全体のカスタマージャーニーなど踏まえて、部門長やその他の役職者を巻き込みながら顧客体験の連動を推進します。

藤井:それは素晴らしい仕組みだと思います。その専任担当者は、顧客体験の連動を提案するだけでなく、部門長を動かして取り組みを推進することもミッションに含まれているわけですね。

水上:そうです。職能としてはPdMに近い存在かもしれません。以前は、そうした役割は担っていなかったのですが、DIPとして活動を続けるうちに、各事業部での意思決定にも関与しなければなかなか取り組みが進まないことに気付きました。単にDIPの一員として外から事業部を支援するのではなく、事業部の中に深く入り込んで、部門長の意思決定にも影響を与えられるような存在でなくてはいけないんです。

藤井:なるほど。それは重要な指摘ですね。昨今、事業横断型の横串の組織を設置する企業は少なくありません。そこには、各事業部の縦割りを廃して、組織内のリソースを有効活用し、事業間でシナジーを生んでいきたいという意図があります。しかし、横串の組織を設置し、担当者を派遣しただけでは不十分で、その担当者が各事業部でどのような動きをするのかも重要だということですね。担当者のミッションや職能にも気を配る必要があると。

藤井保文
株式会社ビービット CCO 藤井保文氏

次のページ
事業横断における「上流の活動」を担う人材を養成するには

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
アフターデジタル最新潮流連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

島袋 龍太(シマブクロ リュウタ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング