電通は、国内電通グループにおいて、「“人間の知(=Intelligence)”と“AIの知”の掛け合わせによって、顧客企業や社会の成長に貢献していく」という独自のAI戦略を、新ビジョン「AI For Growth」として発表した。
同ビジョンは、既にグループ各社が取り組んでいるさまざまなAI活用に共通する考え方であり、今後もこのビジョンを基盤に、AI関連の研究・開発・人材育成などを推進していく。
国内電通グループでは、“AIの知”とは、突き詰めると人間の思考や試行錯誤の軌跡・刻印である、と捉えている。そのため、AIを単なる自動化や効率化のための技術・機械として利用するだけではなく、人の思考プロセスやノウハウ、そしてさまざまなデータをAIにインプットし、進化したAIから人がまた学ぶ、というサイクルを通して「人とAIが高め合う」AI活用を推進する。
具体的には、AI For Growthのビジョンのもと、次の3レイヤー、8領域の取り組みに注力する。
1:クライアントサービス
AIを活用した「①マーケティング支援」や「②トランスフォーメーション支援」「③プロダクト開発」を行う。例として、統合マーケティングソリューションブランド「∞AI(ムゲンエーアイ)」シリーズや、エンタープライズ向け生成AI活用ソリューション「Know Narrator(ノウナレーター)」シリーズなど、国内電通グループ各社の取り組みがあり、顧客企業の課題に応じたAI活用・開発が可能だという。
2:AIアセット
国内電通グループの「④データインフラ拡充」「⑤AI人材育成」「⑥技術研究・開発」を加速させ、顧客企業向けサービスの高度化を図る。例として、グループの知見を反映し蓄積してきたさまざまなマーケティングデータおよびインサイトのAI活用、独自のスキル認定・研修プログラム強化による国内グループ2万3000人のAI人材化、東京大学次世代知能科学研究センターとの共同研究「AIとの協働による人の創造性の拡張」などに取り組んでいる。
3:コーポレート機能
グループ内の「⑦AIガバナンス整備」「⑧組織構築・経営」を推進する。安全にAIを活用していくためのガイドライン作成や、AIガバナンスコミッティの設置、相談窓口の開設などを通して、“人間の知”が、AIによってより高い創造性と生産性を発揮できるよう取り組んでいる。
また、145以上の国・地域で事業を展開するグローバル各社とも連携し、グループの投資先であるAIベンチャー企業や、海外拠点の先行事例・ノウハウを取り入れて、AIのケイパビリティを拡張していくという。
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