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ミドルマネジメントが変われば組織が変わる。1on1コーチングで次世代リーダーを生み出す仕組みとは?

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多忙なミドルに1on1コーチングを導入するコツ

ミドルマネジメント

 さきほど、1on1コーチングの3つのメリットを「短時間の繰り返しで継続可能」「リアル業務に直結し即実践可能」「気づきから行動変容の促進が可能」だとしました。

 1on1コーチングを実施するうえで最も多く指摘される課題の1つが、さきほども触れたミドルの「時間・リソース不足」です。そこで、定例会議の一部を活用したり、サポート職を活用して事務作業負荷を軽減したりする工夫が有効です。短い時間でも継続するというマインドセットを組織全体で共有することで、多忙なミドルでも1on1コーチングを諦めずに続けられる土壌を作れます。

 では、「リアル業務に直結し即実践可能」や「気づきから行動変容の促進が可能」に関しては、いかがでしょうか。

 1on1コーチングでは、「相手の内面から答えを導き出す」問いかけや建設的なフィードバックを重視します。例えば「最近、最も達成感を得られた業務は何か」「その課題が解決すると、チームや顧客にどのようなメリットが生まれるのか」といった具体的な質問を投げかけ、視点や意欲を深く掘り下げます。

 また、フィードバックは否定ではなく「どこが良かったか」「どうすればさらに良くなるか」を明確に示すことで、次のアクションを想像しやすくなります。

 これらにより、リアル業務に直結し、即実践可能な気づきから、行動変容が促進されていきます。

 ただ、ミドルが個々に1on1コーチングを積極的に活用できたとしても、全社的な整合性が取れないとバラつきが大きくなる恐れがあります。そこで経営層が「1on1コーチングの重要性」をしっかり発信し、人事部が研修やツールを整備し、評価制度でも「リーダーとしての育成力」を適切に評価するように設計すれば、ミドルが安心して1on1コーチングに時間を割けるようになります。

 そして、経営層がこうした現場の変化を目の当たりにすると、「ミドルが組織変革を牽引できる」ことを再認識します。これを機に、さらなるマネジメント研修やリーダー育成の施策を拡充する企業が増えています。私たちが支援している企業でも、1on1コーチングがきっかけで社内の評価制度を見直し、ミドルがリーダーシップを発揮しやすい環境へ大きく転換したケースが珍しくありません。

“やったつもり”で終わらせない 導入成果の測り方

 ここまで1on1コーチングによる変化を述べてきましたが、導入の成果をどのように測定し、組織全体の戦略と結びつけるかも重要です。

1:KPI設定

 例えば、ミドルが担当するプロジェクトの進捗速度や新規提案数、部下の離職率やエンゲージメントスコアなどをKPIとして設定し、コーチングとの関連を検証します。

2:人材育成と事業戦略の整合性

 組織として大きな変革プロジェクトを進める場合、ミドルがどのくらいリーダーシップを発揮できているかを定期的に確認し、それを事業戦略のレビューに組み込みます。

3:継続的なPDCAサイクル

 こうした成果測定や戦略との統合を行うことで、1on1コーチングが単なる「現場のコミュニケーション改善策」に留まらず、組織の根本的な変革推進力として確立されるのです。これは企業のトップマネジメント、人事、経営企画部門などが協働し、ミドルを含む全社のリーダーシップ育成と事業の成長シナリオをしっかりリンクさせることで実現しやすくなります。

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企業成長に効く、次世代リーダー開発の全体像

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この記事の著者

石井 伸幸(イシイ ノブユキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

秦野 優子(ハタノ ユウコ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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