日立製作所(以下、日立)は、住友化学の千葉工場・袖ケ浦地区(千葉県袖ケ浦市)における合成樹脂の生産を対象に、AIを活用し、エネルギー消費の低減・最適化を図る生産計画の自動立案システムの実用化に向けた検証を、3月から開始した。
同システムは、日立が独自開発した計画連携エンジン「TSPlanner」を活用して、「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」と統合エネルギー・設備マネジメントサービスの両技術を統合することにより、生産とエネルギーの両面から全体最適化を実現するもの。具体的には、従来の個別ラインごとの最適化ではなく、工場全体の生産計画とエネルギー消費量を総合的に考慮し、生産効率だけでなく、エネルギーの融通可否や自家発電能力、契約電力を踏まえた計画立案が可能になるという。これにより、最適な稼働バランスを維持しながら、エネルギー消費量・CO2排出量削減を実現するとのことだ。
また、生産とエネルギーのデータを統合し、工場全体の状況の可視化が図れるとしている。これにより、部門を越えた調整が可能となり、工場のオペレーターや現場作業員に納得感のある計画立案を支援。加えて、生産とエネルギーの相乗効果を向上し、持続可能な工場運営を実現するという。
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さらに、同システムの導入は、生産計画とエネルギーマネジメントにとどまらず、工場全体のデジタル化(以下、DX)および環境負荷削減(以下、GX)を本格的に進めるための第一歩だとしている。
DXの観点では、生産計画最適化技術を起点に、需要予測、在庫管理、基幹システムなどのデータとの連携を強化することにより、迅速かつ最適な意思決定を可能にする仕組みを構築できるという。GXの観点では、生産計画とエネルギー計画の連携を通じて、自己託送の活用、カーボンプライシングへの対応、需給調整市場への参画を促進。電力需要の平準化や再生可能エネルギーの最適活用を進め、エネルギー消費量削減と環境負荷低減を実現するとのことだ。
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